2015 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子導入とナノバイオマテリアルを応用した新規骨組織再生療法
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26462932
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
近藤 尚知 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (70343150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石崎 明 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (20356439)
平 雅之 岩手医科大学, 歯学部, 准教授 (60179398)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生体材料 / 注入式 / ナノハイドロキシアパタイト / ヒアルロン酸 / ハイドロゲル複合体 / 硬組織再生 / 骨誘導タンパク / 医療デバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
顎骨の再生および骨造成には自家骨移植や、その他骨補填材の移植が一般的に行われており、患者に対する外科的侵襲は不可避であり、また身体的・精神的負荷も大きい。したがって、骨造成手術時における外科的侵襲の負荷を減らすこと、または外科的処置にとってかわる有効な骨造成法の開発が待ち望まれている。 市販のナノ・アパタイトを架橋型ヒアルロン酸ベース・ハイドロゲルに混和し注入式生体材料を調整、十分に混和した複合体を注射筒に取り,マウス頭蓋部骨膜下,骨膜周囲および背部皮下の2箇所に22Gの注射筒を用い骨膜下1~1.5ml,背部皮下2~2.5mlの分量にて注入した。注入後は、術後1週、4週、8週に渡りμCTにて経過を観察した。8週経過の際には、μCT直前にCO2を用いて屠殺した.μCT撮影後には、残存材料を含むマウス頭蓋をダイヤモンドソーにて切り出し、また背部皮下組織も残存材料および周囲組織が含まれるように摘出しHE染色にて組織像を観察した。 架橋型ヒアルロン酸ベース・ハイドロゲル/ナノ・アパタイト複合体は、マウス頭蓋骨骨膜下、骨膜周囲および背部皮下においてある程度経時的にμCT像上での不透過度を増加させることを確認した。また経時的に体積を減じており、生体内で複合体材料が一部吸収されている事も示唆された。架橋型ヒアルロン酸ベース・ハイドロゲル/ナノ・アパタイト複合体にBMPを加えたものは、組織学的検索の結果、骨様組織を形成することが確認できた。 上記検討の結果、ナノ・ハイドロキシアパタイトと架橋型ヒアルロン酸ベース・ハイドロゲルおよびBMPを混和させた注入型生体材料を調整し、マウス頭蓋骨膜下および背部皮下に注入した結果、μCTおよび組織学的評価により、骨様組織(硬組織様構造物)を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ナノ・ハイドロキシアパタイトと架橋型ヒアルロン酸ベース・ハイドロゲルを混和させた注入型生体材料を調整に成功した。この材料は常温では液状で注射による体内への埋入が可能材料である。予備実験の段階でより良いものを開発するために多くの時間を要したが、適切な混和比、タイミングなどを検討して、体内で固化するものを開発した。 一方、遺伝子導入においては、あたらいしいベクターを構築後、in vitroにおける検討を続けているが、めざましい結果が得られず、動物実験に移行する判断が難しい状態にある。 しかしながら、ナノ・ハイドロキシアパタイトと架橋型ヒアルロン酸ベース・ハイドロゲルにBMPのタンパクを混和させた注入型生体材料をマウス頭蓋骨膜下および背部皮下に注入した。結果、μCTおよび組織学的評価により、骨様組織の形成を認めた。
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Strategy for Future Research Activity |
ナノ・ハイドロキシアパタイトと架橋型ヒアルロン酸ベース・ハイドロゲルにBMPのタンパクを混和させた注入型生体材料を調製し、マウス頭蓋骨膜下および背部皮下に注入した結果、μCTおよび組織学的評価により、骨様組織の形成を認めたので、この材料の評価を引き続き行っていく。 また、遺伝子導入による、骨形成促進効果についても、その検証を引き続き行っていく。 実験結果の評価法として、骨組織であることを確認するため、骨特異的なタンパク等の免疫組織染色とも行うことを検討する。
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Causes of Carryover |
実験の進行状況により、消耗品の支出額が、予想以上に大きくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
額面としてはそれほど大きなものではなく、次年度の予定に大きな変更は生じないものと思われる。
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