2015 Fiscal Year Research-status Report
義歯の維持力と疼痛とをリンクさせたハイブリッド評価法の策定
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26462935
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
佐藤 裕二 昭和大学, 歯学部, 教授 (70187251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑澤 実希 昭和大学, 歯学部, 助教 (10343500)
七田 俊晴 昭和大学, 歯学部, 講師 (70307057)
北川 昇 昭和大学, 歯学部, 准教授 (80177831)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 義歯維持力 / バイオネカニックス解析 / 有限要素解析 / 顎堤評価 / 疼痛闘値 / 唾液物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
義歯の維持力および義歯による粘膜の疼痛は患者の口腔関連QOLに大きな影響を与える。 これらに関しては、臨床的研究や基礎的研究はあるものの、それらを統合した研究が無いため、未だに不明な点が多い。本研究では、臨床的研究と基礎的研究(バイオメカニックス解析)を統合した解析を行うことで、義歯の維持力向上と疼痛緩和のための指針を策定することを目指す。 本年度は、義歯支持粘膜の有限要素モデルの作成と解析を行った。同意の得られた被験者のレプリカ義歯をスキャニングレジンを用いて製作した。それをコーンビームX線CTで撮影後、三次元有限要素解析ソフトを用い,上顎全部床義歯及び床下粘膜、義歯を覆うシーネを構築した。解析領域は、床下粘膜の両側ハミュラーノッチを覆い、床下粘膜後縁から前方に1.5 ㎜の幅を持つ長方形とし、最大主応力と義歯維持力との比較検討を行った。その結果、各被験者において粘膜後縁に発生した応力分布は類似の傾向を示した。測定された最大主応力は義歯後縁正中部において他測定部位よりも有意に高くなり、上顎左側第1大臼歯中心窩部は他部位よりも有意に低い値となった。上顎両中切歯切縁の正中部、上顎右側第1小臼歯頬側咬頭部には有意差は認められなかった。以上の結果から、義歯維持力は床下粘膜後縁に発生する最大主応力平均と関係する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は以下のステップに従って実施されている。1.患者の義歯の維持力の計測 2.患者の顎堤粘膜の物性・疼痛閾値の計測 3.唾液の量・物性の計測 4.患者個々の有限要素モデルの作成・分析 5.維持力に関する分析(1~4を用いて) 6.疼痛に関する分析(1~4を用いて)(年度の重なりあり)。 現在、5.維持力に関する分析(1~4を用いて)までについては順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究のステップである、6.疼痛に関する分析(1~4を用いて)については、現在、新たなシーネを開発し、計測を実施中である。また、最終ステップである、これらの統合についても準備が進んでいる。 さらに、日本老年歯科医学会(6月開催;徳島)、日本補綴歯科学会(7月開催;金沢)での発表も採択され、9月にドイツで開催される European Prosthodontic Association (EPA) へもエントリーしている。これらの成果に関しては、英文国際誌への投稿を予定している。
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Causes of Carryover |
顎堤性状と疼痛閾値を同時計測するためのシーネの製作が、当初の予定より遅れたため。また、前年度までの研究成果の発表(国内2回、海外1回)と国際英文誌への投稿を予定しているため、繰り越しとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費(シーネ製作費):20万円、国内学会費(日本老年歯科医学会(6月開催;徳島)、日本補綴歯科学会(7月開催;金沢):10万円、国際学会費(European Prosthodontic Association (EPA)):30万円、論文校閲・投稿費:10万円
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Research Products
(6 results)