2014 Fiscal Year Research-status Report
訪問介護時代を見据え軟質リライン材の使用期限を明らかにする
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26462941
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
木本 統 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (10267106)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 軟質リライン材 / 硬度 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢社会を迎えた我が国では,高齢の有床義歯装着者が多く存在する.このような患者の中には全身疾患などを有するため,外来の通院が困難な患者や顎堤粘膜が菲薄し通常の義歯では満足が得られない患者がいる.そのような患者に対し軟質リライン材を用いた義歯は有効である.しかし,糖尿病などの疾患などにより唾液のpHは変化すると言われている.そこで演者らは,有病者の唾液のpHを想定し,その環境下での軟質リライン材の物性変化を検討することとした. 【試験材料】軟質リライン材:3種類のシリコーン系軟質リライン材(エヴァタッチⓇスーパー,ネオ製薬工業株式会社,以下 EVA,ジーシーリライン,株式会社ジーシー,以下 GCR,ムコプレン ソフト,kettenbach,以下 MCP)および 3 種類のアクリル系軟質リライン材(ソフテンおよびFDソフト,亀水化学工業株式会社,以下 SFT およびFDS,バイオライナー,株式会社 ニッシン,以下BIO)を使用した.【試験体】直径 4 mm 深さ 2 mm の円柱状の窩洞を10個成形した填塞用のレジン板に,1 枚につき1 種の軟質リライン材を填塞し作製した.各軟質リライン材の試験体数は 10 個である.【測定方法】1) 浸漬および測定時期:1試験体をpH5.5,6.5,7.5,8.5に調整した擬似体液に浸漬後,口腔内温度を想定し,37℃恒温槽に保管した.測定時期は試験体作製時をベースラインとし,3日後,1週後,2週後,3週後,4週後の合計6回とした.2) 測定装置:測定機器には,無線携帯式粘弾性測定Vesmeter®を用いた.1試験体につき3回繰り返し測定した. 【結果】軟質リライン材の硬度変化はpHに依存するが、材料によりその依存度が異なることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間中に、in-vitroの研究とin-vivoの研究を行う予定である。初年度においてinvitroの理工学的基礎実験が終了し、学会発表と論文の執筆を進めている。この事から、研究は遅滞なく順調に進んでいるものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
菲薄化し弾性を失った顎堤粘膜をもつ義歯使用者への軟質リライン材の応用は患者の咀嚼能率を改善し1)満足度を高くする2).しかしながら,軟質リライン材は口腔内適用後から徐々に弾性を失い劣化するため長期間使用することができない.この問題に対する研究は実験室レベルで行われているが,実験環境が口腔内条件と異なり結果をそのまま臨床にあてはめることはできない. そこで,1)口腔内でのリライン材の粘弾性特性(粘性・弾性・緩和時間・粘弾性率・硬度・貫入速度)の経時的変化をin-vitroでの試験(水中長期保管下での粘弾性特性の変化)と比較検討し口腔内環境の特異性を検証すること,2)粘弾性特性の経時変化のスピードから軟質リライン材の交換時期を予測すること,3)口腔内環境因子の粘弾性特性の変化に及ぼす影響を明らかにすることの3点を目的に本研究を立案した.被験者は新義歯が完成するまでの期間,上顎旧義歯口蓋部に形成した直径4mm深さ2mmの6個の窩洞に異なる6種の軟質リライン材を充填した状態で旧義歯を使用する.研究開始1回目に試料の旧義歯への填塞および試料の初回値の測定・質問票・唾液分泌量の測定・咬合力の測定を行い,2回目以降治療毎に軟質リライン材の粘弾性特性を測定する.
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Causes of Carryover |
pH調整人工体液製作費を来年度に再度確保したいため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試験体をpH5.5,6.5,7.5,8.5に調整した擬似体液に浸漬後,口腔内温度を想定し,37℃恒温槽に保管した.測定時期は試験体作製時をベースラインとし,3日後,1週後,2週後,3週後,4週後の合計6回とした.2) 測定装置:測定機器には,無線携帯式粘弾性測定Vesmeter®を用いる.1試験体につき3回繰り返し測定する.
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