2014 Fiscal Year Research-status Report
高耐食チタン合金のレーザー積層造形による歯科臨床応用への展開
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26462958
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
服部 雅之 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (10307390)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 高耐食チタン / 金属粉末積層造形 / 歯科用金属 |
Outline of Annual Research Achievements |
レーザー焼結による金属積層造形法を利用して補綴物や修復物を作製する歯科用CAD/CAMシステムが導入され、従来の切削加工法による歯科用CAD/CAMの欠点を補完する方法として注目されている。金属粉末積層造形技術は、他品種少量生産に適した方法として工業界では普及しつつあり、近年、歯科領域でも純チタンやコバルトクロム合金粉末による歯科修復物の作製が可能となっている。本研究では、フッ化物や過酸化物に優れた耐食性を示すチタンクロム合金のレーザー積層造形を試作チタンクロム混合粉を用いて行い、造形精度ならびに造形における最適な条件の確立を目的とする。 チタン粉末とクロム粉末を混合したチタンクロム合金粉末を調製し、金属光造形複合加工機にて上記チタンクロム合金粉末が、凝集を起こさず粉末層を形成できるかを確認したところ、ベースプレート上に粉末が凝集を起こすことなく供給可能であることを確認した。直径を20mm、厚さ3mmとした円柱状試験片をアルゴンガス雰囲気下にて造形、切削加工を行った。積層造形の条件は、出力120W、レーザー走査速度200-400mm/s、積層厚さ0.05mmとした。 全条件にて造形が可能であることを確認し、造形中のワークの剥れやワークの盛り上がりによるスキージングブレードとの接触もおこらず、良好な造形状態を示した。試料内部の空孔の発生状況を簡易的に確認するため、各条件の切削面の顕微鏡観察から画像処理を利用してワークの相対密度を算出した。今回の設定条件下では、レーザーのエネルギー密度が高い条件において、ワークの空孔が少なく最も粉末の合金化が進行していることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の研究においては、試作合金粉末の金属光造形複合加工機による造形の可否ならびに積層造形条件の確立を目的とした。試作合金粉末による造形は概ね良好であること、金属粉末積層造形のための積層造形条件については、その条件を明らかにでき、ほぼ積層造形技術を確立できた。しかし、積層造形条件については、既存のチタン合金の積層造形条件を参考に行っているため、さらに詳細な検討を行う必要がある。よって全体としては、やや遅れていると評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、より高出力での条件下による造形テストを行うとともに歯科材料の規格試料を作製し、その機械的性質を評価する。また、フルクラウンやブリッジなどの歯科補綴物形状による造形の可否を検討することにより、歯科臨床に向けた基礎技術を確立する。
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Causes of Carryover |
本研究課題採択決定直後、異動により所属研究機関が変更となったことから、研究を遂行する上での環境が変化した。環境整備に時間を要したことで、研究のスタートが遅れたこと、また、学会出席や研究打合せも滞ったことから、予算の執行が予定通りに行われなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品として、積層造形に使用する金属粉末ならびに比較対照用金属を引き続き購入する。初年度に購入予定であった、データ解析ならびに造形物の画像処理に必要なノートパソコンを物品費として計上している。旅費として、積層造形装置使用ならびに研究打合せのための交通費および宿泊費を計上している。また、研究成果を学会にて報告するための旅費を計上している。謝金には、研究成果を論文投稿するための英文校正の費用を計上している。その他として、機械的性質評価に使用する万能材料試験機使用料を計上している。
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Research Products
(2 results)