2016 Fiscal Year Research-status Report
高耐食チタン合金のレーザー積層造形による歯科臨床応用への展開
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26462958
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
服部 雅之 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (10307390)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高耐食チタン / 金属粉末積層造形 / 歯科用金属 |
Outline of Annual Research Achievements |
レーザー焼結による金属粉末積層造形法を応用して歯科修復物を製作する歯科用CAD/CAMシステムが導入され、従来からの鋳造法ならびに切削加工法による歯科用CAD/CAMの欠点を補完する方法として、一般工業界のみならず医療分野への応用も含めて注目されている。近年、歯科領域でもコバルトクロム合金粉末による陶材焼付メタルフレーム製作システム製作システムが実用化されつつあるが、歯科修復物に要求される表面性状、加工精度や造形用金属粉末の選択が限定されることなど、積層造形法の歯科応用に関しては克服すべき課題も多い。本研究の目的は、フッ化物や過酸化物に対し優れた耐食性を示すチタンクロム合金を、粉末化によりレーザー積層造形への応用を検討することである。 粉末は、平均粒径約45μmのチタン粉末、クロム粉末を選択した。それらで合金粉末を調製し、金属光造形複合加工機にてレーザーの出力、走査速度、積層圧の設定を最適化し造形可否を検討した。試験片サイズはφ20mm×厚さ3mmの円板形状とした。エネルギー密度が高い条件においてワークの気孔が少なく合金化の進行が確認でき、造形が可能となった。歯科修復物への応用を考慮すると粒径サイズの大小が、歯と造形物との適合性に影響を及ぼすことが懸念される。そこで、金属粉末の粒径を約10μmとしたところ、混合粉末にひび割れを認め流動性が低下し、複合加工機の機構的制限もあり加工機ワーキングテーブル上に金属粉末を供給できず、造形することができなかった。 そこで、粉末粒径は約45μmを使用し造形物の作製を行った。φ20mm×厚さ3mmの円板形状では造形が可能であったが、ISOに準じたダンベル型では造形が不能であった。試料サイズの大型化が原因と考えられ、現在いくつかの条件設定の変更を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度から、試作合金粉末による金属粉末光造形複合加工機による造形の可否ならびに積層造形条件の確立を目的として、試作合金粉による造形を試み、形状付与が可能となったことで造形条件を絞ることができた。一方で、歯科修復物を口腔内に適合させるためには、合金粉の粒径を小さくすることが求められる。そこで粉末粒径を小さくした試作合金粉を調製して複合加工機での造形を試みたところ、造形が不可能となった。この問題は、未だ最終的な解決には至っていないが、造形条件の探索に予想外の時間を費やしたことで、物性評価に用いる試験片の製作が大幅に遅れている。よって、進捗はやや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、試作合金粉末粒径サイズと造形条件の検討を継続的に行っている。と同時に、規格試験試料を製作し、主に機械的性質評価を行っている。一方で、試験片の形状やサイズが変更となると、都度、複合加工機の条件設定の変更が必要となることから、データの蓄積が重要となってくる。
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Causes of Carryover |
当課題が採択後に、所属研究機関が変更となったことにより、研究進捗がやや遅れたことで、試料作製に使用する消耗品(金属粉末や金属)の購入が滞ったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主に、試料作製に必要な金属の購入を迅速に実施する。
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Research Products
(5 results)