2014 Fiscal Year Annual Research Report
14-3-3σシグナルを介した薬理学的増殖スイッチ操作による高機能培養粘膜の開発
Project/Area Number |
26462965
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
安島 久雄 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (80377150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 健康 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40183941)
泉 健次 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80242436)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 口腔粘膜上皮細胞 / 細胞分化 / 14-3-3σ / mTORシグナル / キャップ依存性mRNA翻訳 / カルシウム濃度 |
Outline of Annual Research Achievements |
培養口腔粘膜上皮では14-3-3σタンパクが制御するキャップ依存性mRNA翻訳を行う細胞が少なく、in vivoの口腔粘膜に比べ細胞が分化する傾向が高いため、上皮が厚くならないという仮説を検証すること目的として、本研究では薬理学的に培養口腔粘膜上皮基底層の14-3-3σを抑制、mTORシグナルを活性化し、細胞分化抑制、増殖能亢進により、厚い上皮細胞層を有する培養口腔粘膜を開発することを目標とした。14-3-3σ阻害剤とmTOR活性化剤を用いて、患者から採取した初代培養細胞のキャップ依存性翻訳を薬理的に誘導することによって、14-3-3σとmTORの発現パターン・バランスをin vitroで再現することで、厚い上皮をもつ培養口腔粘膜の作成を目指し、本年度は、培養口腔粘膜上皮細胞で、研究計画にリストアップした試薬の効果検討と至適濃度決定をタンパク分析と細胞化学分析を通して行う予定とした。通常の培養環境においては、細胞増殖と細胞分化を優位にするために、培地中のカルシウム濃度をそれぞれ0.06mMと1.2mMに設定することでコントロールしている。本実験では、14-3-3σ阻害剤として合成ペプチドDifopeinを加え、mTOR活性化剤として、培地中に含まれているアミノ酸であるロイシンを追加して、実験を進めた。その結果、残念ながらタンパク分析と細胞化学分析を通じて、明らかな有意差を得ることに至ることがなかった。このネガティブデータから考察できるのは、本実験で用いたカルシウム濃度は培養口腔粘膜の臨床応用プロトコールで使用している濃度であるが、このカルシウム濃度の影響が圧倒的であるために14-3-3σとmTORシグナルの薬理学的阻害と活性化では、細胞の形質が変わるレベルに至らないことが間接的に証明され、実際に薬理学的効果を検証するにはカルシウム濃度の調整が必要であることが示唆された。
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