2015 Fiscal Year Research-status Report
網羅的メタボローム解析によるインプラントリスクファクター検出法の確立
Project/Area Number |
26462970
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
鈴木 泰明 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (10397812)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近津 大地 東京医科大学, 医学部, 教授 (30343122)
木本 明 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (30597167)
古森 孝英 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50251294)
浅井 知子 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (90533745) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 歯科インプラント / リスクファクター / メタボローム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯科におけるインプラント治療が普及する中、その治療を行う際に様々なリスクファクターをかかえている患者が増えているが、術前にそれらを検出し、治療の可否を明確に予測・評価し得る科学的指標は現在においても未だ見当たらない。そこで、我々は先ずインプラント治療のリスクファクターとされる疾患モデルラットを用いて埋入実験を行うとともに、同様の疾患を有するヒト臨床検体と比較・照合、最終的には新規バイオマーカーによるインプラント治療の術前リスクファクター検出法の確立を目指して本研究を平成26年度より開始している。 初年度においてはこれら研究遂行の基盤となる、ラット顎骨を用いた新規のインプラント埋入実験法の確立を目指して、実験を進めた。また、osseointegration抑制下のモデルラット下顎骨へ、同様にマイクロインプラント体埋入を行い、正常ラットとのosseointegrationの相違を検討した。そして、osseointegration抑制モデルラットを用いて口腔内より唾液を回収、網羅的メタボローム解析を行い、正常ラットと比べての特異的プロファイリングを得るべく解析を進めた。唾液においては変動する代謝物の解析がやや困難であることも危惧されたため、血液(血漿)も採取して解析を進めた。 2年目の本年度は、その血液を用いた解析を続けるとともに、インプラントのリスクファクターとなり得る各種疾患モデルラットを用いての埋入実験およびメタボローム解析を進めた。当初の疾患モデルとしては糖尿病、歯周病、そして骨粗鬆症などを想定していたが、それらの間における解析の特異度や差もみられ、いずれかのモデルに絞るのか検討する必要のあることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
唾液と血液でのサンプルとしての適性の相違など初年度における問題も理解した上で、2年目の各種疾患モデルラットを用いたインプラント埋入実験、メタボローム解析に臨み、進めていくことが出来た。それにより、疾患モデルとして今回の解析法ではどのモデルがより適当であるのかということを今一度考え直し、ある程度モデルとなるものを絞る必要性のありそうなことも実験および研究分担者・その他とのディスカッションにより浮かび上がらせることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目(本年度)で得られた疾患モデルによる知見から、実際にこれら疾患を抱えている患者(ヒト)の臨床検体および健常人のサンプル収集を進めていき、両者の比較に加え、これまでモデル動物から得られた解析結果との比較・照合もメタボローム解析をもとに行っていく。これより、インプラント治療時のリスクファクターとなるバイオマーカー候補物質の検証実験が可能となり、それらを早期に見出せるようになることを最終的には目指す。さらには、現在既に用いられている各種臨床検査値との相関についても検討を加えてみたい。
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Causes of Carryover |
メタボローム解析に供する物品費等が当初考慮していたものより少なく済んだことや、人件費・謝金に供する費用が不要となったこともあり、繰越金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
「今後の研究の推進方策」の項に記したように、インプラントのリスクファクターと思われる疾患を有する患者および健常人の臨床検体を収集し、解析するための高額なカラムの交換・購入や、最終年度にあたり研究成果を発表するための旅費、また論文作成・投稿費の増大が予想され、これらの使用に供する予定である。
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