2016 Fiscal Year Research-status Report
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26462976
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
見明 康雄 東京歯科大学, 歯学部, 准教授 (00157421)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生体材料 / ヒドロキシアパタイト / 結晶合成法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年から行っている多量の単結晶ナノチューブアパタイトの作製方法を追求すると共に、その一部を生体に応用する実験を行った。 合成方法は、リン酸2水素アンモニウム1.38gを200mlの蒸留水に溶解し、80度に加温後10%炭酸アンモニウムでpHを8.0に調整した溶液に酢酸カルシウム3.35gを200mlの蒸留水に溶解して滴下した。滴下時間は120分間で終了後に0.1Mフッ化水素を滴下した。滴下後30~60分前後放置し、合成粉末を水洗、乾燥して回収した。その際、HFの滴下量を任意に変更して結晶の耐酸性を比較した。回収した粉末0.1gに対し0.1M乳酸脱灰液pH2.5~2.8のものを10ml用い、2~4日間脱灰してチューブ状の穿孔の形成状態を観察した。現在の所、穿孔による気孔率は一定せず、同条件で作製してもほとんど穿孔が形成されない場合もあり、原因究明をつとめている。 年度後半に、気孔率20~30%程度のものを用いて動物実験を行った。実験は抜歯窩の治癒過程にこのアパタイトがどの様な影響を与えるかを検索したもので、生後4週のウイスターラット雄の上顎大2大臼歯を抜去し、抜歯窩に10~30mg前後のアパタイトを埋入した。埋入は生理食塩水で泥状にしたアパタイトを注射器で押し込む方法としたが、出血などで埋入量を規定するのが困難であったので、現在方法を検討中である。観察対照は抜歯後そのまま放置した抜歯窩で、埋入後1週間の試料を比較してみたが、試料間のばらつきが大きく明確な差が見られなかった。今後埋入方法の検討と短期および4週以上の長期にわたる変化を脱灰および非脱灰試料を作成して検討する。 なお、研究期間の後半で、実験室の火災があり設備が使用禁止となったので、実験を十分行う事が出来なかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年来、結晶合成後の脱灰による穿孔方法を検討し続けているが、気孔率を上げることが困難で、この条件検索に時間が取られ動物実験および他の応用実験が遅れている。 また、大学共同実験室で火災があり、原因が明確にならないため警察による立ち入り禁止区域が設定されたまま4ヶ月過ぎても未だに解除されていない。私が実験しているドラフトがこれと隣接しており、電源がカットされたままで現在使用できない。他の場所からドラフト以外の機器の電源を取って実験を再開しつつあるが、電源の制限があり研究の遅れを引き起こしている。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度は最終年度でもあり、単結晶ナノチューブアパタイトの気孔率を上げる条件の検討をさらに行い、気孔率が50%以上を目標とする。 また気孔率が50%以下であっても抜歯窩に対する動物実験を追加して行い、単結晶ナノチューブアパタイトが生体内で骨補填材として利用できるか、周囲の細胞に対しどの様な影響を及ぼすかを明確にしていく。 さらに齲蝕治療用材料として初年度に計画した自己硬化型アパタイトへの応用を行う。初めに牛歯に窩洞を形成し、このアパタイトと硬化剤を応用して歯の修復に応用した際の適合性を検討する。その後時間があればラットの臼歯に窩洞を作製し、象牙質への適合性を検索する。ラットの窩洞形成は以前別の研究で行ったことがあり、その成果を利用する。
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Causes of Carryover |
研究期間後半に共同実験室で火災が発生し、原因解明が出来ずに研究施設の一部が使用できなくなった。私の利用しているドラフトも電源が切られたままでで使用できず、研究に支障が生じて研究発表が予定通り行えなかったため、旅費を使用しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の残金は次年度の研究計画に追加して利用する。そのため、これまでの研究を総括して研究時間を昨年より増加して現在不十分な部分の研究を追加し、これまでの成果を積極的に学会などで発表していく。特に気孔率の上昇と骨補填材としての利用に関する研究を主として行う。
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