2015 Fiscal Year Research-status Report
歯髄・骨髄・脂肪幹細胞培養上清の再生能比較による細胞遊走因子の同定
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26462985
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
石坂 亮 愛知学院大学, 歯学部, 助教 (00705197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 美砂子 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, その他部局等, その他 (20207773)
林 勇輝 愛知学院大学, 歯学部, 助教 (10756547)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 歯髄再生 / 幹細胞 / 培養上清 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、培養上清による歯髄再生を目指して、再生に必要なタンパクを同定し、そのタンパクによる再生治療の可能性を検索することを目的としている。 昨年度は、歯髄・骨髄・脂肪幹細胞培養上清のin vitroにおける添加実験を行い、他の上清に比べて歯髄上清は、高い遊走促進能と抗アポトーシス能および血管新生促進能を有しているが、増殖促進能には差がないことを明らかにした。そのため、再生量の差はそれぞれの幹細胞から分泌されたTrophic factorの差に依存していることが示唆された。 そこで、本年度は、幹細胞の持つ再生能に強く影響を与えているTrophic効果および関与するTrophic factorを明らかにすることを目的として、5ug/mlに調整した歯髄・骨髄・脂肪幹細胞培養上清をコラーゲンとともにブタ歯根に注入後、SCIDマウスの腹部皮下に異所性に移植し、歯髄再生能の比較検討を行った。 歯髄・骨髄・脂肪上清のいずれを移植した場合でも形態学的に同様の特徴を示し、幹細胞を移植した場合と同様に歯髄マーカーTRH-DEの発現を認める歯髄組織が再生した。移植歯の周囲組織においてBrdUで標識された細胞は全ての移植後再生組織で認められ、宿主の細胞が遊走していることが明らかとなった。これらの結果は、いずれの組織由来の上清を移植した場合であっても、遊走してきた宿主の細胞が移植歯内部の微小環境に反応して歯髄組織は再生していることを強く示唆している。しかし歯髄上清を移植した場合、他の上清を移植した場合と比べ、再生量、細胞密度、血管新生密度の高い組織を再生する。つまり、歯髄・骨髄・脂肪上清の再生能の差は、含まれているTrophic factorの持つ遊走促進能、抗アポトーシス能および血管新生促進能によって生じていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
In vitroにおいて、培養上清のtrophic効果の比較・検討が完了しており、また、培養上清を用いた異所性歯根移植が成功し、歯髄・骨髄・脂肪上清の再生能の差は、含まれているTrophic factorの持つ遊走促進能、抗アポトーシス能および血管新生促進能によって生じていることが示唆された点から、その後の実験はほぼ滞りなく進めることができると考え、上記の自己点検による評価を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況がおおむね順調に進展しており、平成28年度は、培養上清をイオン交換クロマトグラフィーによりフラクションにわけ、それぞれの遊走促進能を比較する。そこで高い遊走促進能を示したフラクションを異所性歯根移植に用いて、遊走因子を多く含むフラクションを特定する。そのフラクションを質量解析し、さらにリコビナンドタンパクを作成し、in vitroでの添加実験および異所性移植を行うことで細胞遊走因子を同定する。 以上の事から、同定した細胞遊走因子が組織再生を担うことを証明し、細胞を必要としない新たな再生治療の可能性を示す予定である。
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Causes of Carryover |
741円で購入できる商品に限りがあり、必要としなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度交付金と合わせて、研究費として使用予定である。
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