2014 Fiscal Year Research-status Report
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26462987
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
中塚 美智子 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (70368158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
乾 千珠子(山本千珠子) 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 助教 (00419459)
隈部 俊二 大阪歯科大学, 歯学部, 准教授 (30288774)
細矢 明宏 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (70350824)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 下顎頭 / 軟骨 / 再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
若年性リウマチなどにより下顎頭部の軟骨内骨形成が障害あるいは抑制されると、下顎頭の変形、下顎骨形態や顎顔面の骨格に重篤な影響を及ぼす。下顎頭は表層に線維層および線維軟骨層を有し、再生手法も確立されていないため再生が極めて困難である。 今回我々は骨髄および骨膜から採取した細胞を用い、下顎頭の線維層および線維軟骨層を形成する細胞への効率的な分化誘導法、ならびに、下顎頭表層部を再生する線維層および線維軟骨層の細胞シートを作製して重ね合わせ、下顎頭欠損部へ貼付した後の再生能について検討することにした。 平成26年度はまず線維層および線維軟骨層を形成する細胞培養系の確立を目指すため、ラット脛骨骨髄から細胞を採取後、各種成長因子を添加し、分化能を評価することを行った。各種成長因子を添加した脛骨骨髄由来間葉系幹細胞の分化誘導および評価を行うため、5週齢Wistar系ラット脛骨から採取した骨髄細胞を14日間培養した後丸底クライオチューブに播種し、BMP-2(100 ng/ml)、IGF-I(100 ng/ml)、TGF-β3(100 ng/ml)、ascorbic acid (50 μg/ml)を添加して軟骨細胞への分化実験を行っている。骨髄細胞は培養dishに接着したものを間葉系幹細胞として実施した。形成された細胞ペレットを採取し、凍結して切片を作製した後、軟骨細胞への分化の指標となるアルシアンブルー染色を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
5週齢Wistar系ラット脛骨から採取した骨髄細胞を14日間培養した後丸底クライオチューブに播種し、分化誘導後7日、10日、14日、17日、21日に形成された細胞ペレットを採取した。採取したペレットを凍結してクリオスタットにより厚さ7μmの凍結切片を作製した後、軟骨細胞への分化の指標となるアルシアンブルー染色を行った。 達成度は当初の予定よりやや遅れている。理由として、ペレットの状態如何で染色結果がばらつくことが明らかになったことが挙げられる。ペレットの形成はクライオチューブ内で自然発生的に行われており、細胞数が少ないと形成されない。また、採取の手技が不安定で、ペレットの形状に影響を与えることも考えられる。このため、現在コラーゲンゲルをスキャフォールドにして三次元培養を行い、同様の方法でアルシアンブルー染色を試みている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は現在行っているコラーゲンゲルをスキャフォールドにした三次元培養によりアルシアンブルー染色を試み、軟骨細胞への分化の確認を早期に行う。また、分化したと考えられる細胞のmRNAを採取し、real time PCRにてI型およびII型コラーゲン、BMP、IGF-I, II、TGF-β3、Sox5,6,9、Runx1,2 mRNAの発現を評価する。 さらに、線維軟骨層の細胞に誘導した細胞をコラーゲンゲルとともにラット頭部皮下へ移植し、21日後に基質形成能をアルシアンブルー染色ならびに免疫組織化学的染色にて評価する。 次にラット脛骨から採取した骨膜細胞を培養し、線維層形成能について評価するため、EGF、bFGFを各1,10,40,80 ng/ml添加した培地で1-28日間培養する。線維層にはIGF-I、IGF-IIが強く発現し、ESFsも多く含まれることから、 I型コラーゲンも含め、これらの遺伝子発現により分化を評価する。 線維軟骨層は椎間板や関節円板と類似の構造を持つため、線維軟骨細胞層の培養条件が難しい場合はそれらからの細胞採取も検討する。
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Causes of Carryover |
今年度末に成長因子を購入しようと考えていたが、残額に比べて高額であったため、購入することが難しかった。このため残額を使用することができず、次年度使用額が生じることになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は今年度に引き続きラット由来細胞を用いる予定である。このため、ラット購入費として20万円を計上する予定である。また細胞培養およびRT-PCR実施のため、培地やプライマーなど試薬の購入費として次年度使用額に加えて新たに90万円を計上予定である。細胞培養などに用いる器具購入費として20万円を計上する予定である。さらに研究成果を発表するため、国内学会(歯科基礎医学会、新潟市)参加費ならびに出張費(4名分)として計20万円を計上する予定である。 平成27年度は合計150万円を計上する予定である。
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