2015 Fiscal Year Research-status Report
脂肪由来幹細胞へのMyoD family 遺伝子導入による筋の再生
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26462994
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
坂本 洋右 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (50451745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
椎葉 正史 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20301096)
鵜澤 一弘 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30302558)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | MyoD family遺伝子 / 脂肪幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は以下の実験を行なった。 1)筋細胞特異的発現遺伝子群の発現誘導に重要なMyoD family遺伝子(MyoD, Myogenin, Myf5)およびPax-7のORF配列を、Gatewayシステム(invitrogen)を用いて、レンチウイルスベクター(CSII-CMV-RfA-IRES2-Venus(Venus搭載))にそれぞれ搭載した。 2) HEK293T細胞を用いてウイルス含有培養上清を作成、濃縮し、ヒト胎児由来線維芽細胞(HFF)へ感染させた。 3)Flow cytometry(BD Falcon)を使用し蛍光タンパク陽性細胞のセレクションを行った。MyoD family遺伝子およびPax-7を導入したHFFでは、細胞の形態変化が観察されたほか、qRT-PCR法をもちいてMyoD family遺伝子およびPax-7の発現が亢進していることが確認できた。 また、Western blot法にて、α-actinin, α-SMAの発現が亢進していることを確認した。 本年度の研究結果では、HFFにMyoD family遺伝子を導入し、筋分化の傾向を確認することができた。一方で、hASCsについては、他の幹細胞で分化誘導後に認められるような増殖速度減少がみられ、培養が困難であった。今後、ヒト骨髄幹細胞への遺伝子導入と分化導入後の細胞を長期的かつ安定的に培養できるように改良した培養法を確立することを並行していく計画である。脂肪幹細胞は臨床的に採取しやすい頬脂肪体から抽出し、安定的に培養することができる汎用性に優れた材料であり、遺伝子導入によって筋分化の傾向が観察できたことは、次年度以降の実験に寄与する結果が得られたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に予定していた研究計画には十分到達することができた。またこれまでの研究成果は次年度以降の研究計画に大きく寄与できる内容であり、本年度の実績としては順調に進展しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
MyoD family遺伝子を導入したhASCsの増殖速度が低下したことについては、他の幹細胞においても分化誘導によって同様の傾向が認められていることから、あらかじめ予想できた結果である。次年度は、Rock阻害剤や成長因子などを組み合わせることによって、分化誘導後のhASCsを長期間にわたって安定的に培養・増殖させる方法を確立することを目標とする。また、骨髄幹細胞にも同様の実験を試みる。その後、共焦点顕微鏡による細胞形態の変化や筋マーカー(α-SMA, ミオシン重鎖, CK, ジストロフィンなど)の変化について考察する。さらに、コラーゲン培地などを用いて立体的な培養を目指す。いずれも当研究室において蓄積されたデータや、行われてきた実験手法を用いるものであり、スムーズに研究を進めていくことができると考えている。
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