2014 Fiscal Year Research-status Report
顎骨骨髄炎細菌叢のネットワーク解析に基づく病態解明と新規治療戦略の提案
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26462997
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
道 泰之 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70376755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 一路 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70294113)
丸山 史人 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30423122)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 複合感染症 / 顎骨骨髄炎 / メタ16S解析 / メタゲノム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔内未露出の腐骨形成を伴う顎骨骨髄炎を対象とし,骨病変が含む細菌のDNA・RNAを抽出して高速シーケンサで塩基配列を決定した.獲得した16S rDNA、rRNA情報をもとに病変に存在する細菌の活動性を評価すると共に,16S rRNA情報から細菌叢が保有する全ゲノム情報を予測して情報学的メタトランスクリプトーム解析を行った.その結果,全ての病期で高頻度に検出されるコア・マイクロバイオームであっても,その全てが高い活動性を有するわけではなく,活動性の高い細菌種の構成はサンプル毎に異なることを明らかにした.その一方で,細菌叢が保有する機能遺伝子自体はサンプル毎に類似しており,細菌叢全体が主構成菌の変化に影響を受けない頑強性を保有していることが示唆された.また,活動性が高い細菌種同士が形成するネットワークは,幾つかの菌種がコミュニティーを形成し,このようなコミュニティーが階層的に重なることで1つのネットワークを形成している可能性が示唆されるととに,これらのコミュニティーが生存に必須の機能遺伝子の一部の発現を分担することによってネットワーク全体を維持している可能性が示唆された.さらに,異なる機能遺伝子構成を保有する菌同士ほど共起する傾向にあることが示唆された. 当該年度では,新たに10個の骨検体を獲得しており,これらのサンプルに於いてもDNA, RNA情報を取得後,同様に解析を行っていく.また,今後も出来る限りサンプルの採取を継続していく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サンプル獲得に於いて,予定より時間が掛かったが十分量のサンプルを取得することが出来た. 既にサンプルから抽出した8サンプルを用いて解析プロトコルを確立出来ており,当該年度に取得したサンプルからDNA, RNAデータを抽出次第,解析に移行する.
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度に取得したサンプルからDNA, RNAの抽出を行うと共に,可能であれば更に骨髄炎サンプルを獲得していく. また,抽出したDNA, RNAデータに対して確立した解析プロトコルを実施すると共に,さらなるネットワーク解析を行うことで,骨髄炎細菌叢が形成するネットワークの頑強性および脆弱性を解析し,新規治療プロトコルの提案を試みる.
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Causes of Carryover |
サンプルの獲得に時間を要しサンプル調製の時期が遅れたため,試薬の使用期限等を考慮し,一部の試薬購入を次年度に先送りにしたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
高速シーケンサー用の試薬の購入.
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