2015 Fiscal Year Research-status Report
海洋生物由来新規生理活性物質の探索とヒトiPS細胞を用いた創薬応用への基礎的研究
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26463006
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉岡 幸男 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 助教 (20335665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 哲治 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 教授 (00169153)
山崎 佐知子 広島大学, 大学病院, 助教 (00632001)
小鹿 一 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (50152492)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 海洋生物 / Laurencia intricata / 細胞毒性試験 / Aplystatin / PalisadinA / Palisol |
Outline of Annual Research Achievements |
インドネシア近海で採取した海洋生物で,紅藻ソゾ属の一種Laurencia intricataをエタノール・メタノール溶液にて抽出し,水画分,酢酸エチル画分,ヘキサン画分に分配しそれぞれの画分を再度,逆相カラム(ODSカラム)で抽出を行い,28種類の粗造なサンプルを得た.これら抽出物(H1~H14,M1~M14)の扁平上皮癌細胞に対する細胞毒性試験を当教室で確立した無血清培養法を用いて行った.DMSOに溶解したサンプルを最終濃度が10,1,0.1μg/mlとなるように培地に添加し,アッセイを行った.その結果,H4, H12,H14,M12の活性が高く,特にM12は低濃度で殺細胞効果が高く,そのIC50は0.03μg/mlであった.この抽出物をさらに精製しKS-I-185-2,KS-I-194-2,KS-I-194-4,KS-II-3-7,KS-II-3-11,KS-II-8-6を得た.LC/MSにてその構造解析を行った結果,Aplystatin,PalisadinA,Palisol,5-beta-HydrooxypalisadinBが同定された.すべて既知の化合物であった.これらは比較的良く知られたbrominated sesquiterpenes(臭化セスキテルペン群)であり扁平癌細胞に対する細胞毒性試験の結果,そのIC50は0.15, 1.42, 0.59, and 0.45 μg/mlであった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は未知の生理活性物質を同定し得るがどうかが研究の進捗を左右する.海洋生物からはオカダ酸などの強力な毒性物質やシタラビン(Ara-C)等の抗腫瘍薬が開発されているが臨床の現場に応用されている物質は多くはない.すなわち,地球上の7割を占める海洋をすみかとする海洋生物は新規薬剤となりうる生理活性物質の無尽蔵の宝庫ではあるものの,未知の物質を同定することは非常に困難であるといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
海洋生物由来の抽出物を扁平上皮癌の増殖抑制効果を指標に精製を進めて,新規の天然の生理活性物質を同定する基礎研究は非常に困難な場合が多く,活性の高い物質の構造解析を行うと既知の物質であったということが多い.しかし,たとえ既知の物質であったとしても新規の生理活性メカニズムである可能性も高い(知られていない生理活性作用を有する可能性があるということ).今後はこの点に着目し,研究の方針を変更する予定である.今までに同定された生理活性物質をBio-rad社のBio-Plexというキットを用いて,生理活性物質の口腔扁平上皮癌に対する増殖抑制効果の新しいシグナル経路を探求してゆく.また,当教室で樹立しているマウスES細胞やiPS細胞を用いて,アッセイの結果同定された既知の生理活性物質の機能を解析することとする.
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Causes of Carryover |
本研究は継続して,海洋生物由来生理活性物質の探索を継続する必要がある.したがって,新規の生理活性物質を探索する研究費は継続して必要である.また前述した様に,これまでに同定した既知の生理活性物質に関しても,その新規の生理作用を解析していく予定であるため,継続して前年度同様の研究費を必要とするため約70万円程度を必要とする.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未使用額691,833円を以下の様に使用予定である. これまで通り,海洋生物由来新規生理活性物質の探求を継続する.最も予算を必要とする.海洋生物の収集,精製に40万程度,細胞毒性試験に10万円程度を分配する予定である. 既に同定した,既知の生理活性物質の,口腔扁平上皮癌に対する増殖抑制効果の新しいメカニズムを解明して行く.このためには,当教室で樹立したマウスES細胞やヒトiPS細胞を継代培養してゆく研究費等(残約20万程度をあてる)が必要である.
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Research Products
(2 results)