2017 Fiscal Year Research-status Report
口腔がん治療により生じる口腔細菌叢の量的・質的変化の次世代シーケンサーによる解析
Project/Area Number |
26463015
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大部 一成 九州大学, 大学病院, 講師 (80243955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川野 真太郎 九州大学, 大学病院, 講師 (00398067)
竹下 徹 九州大学, 歯学研究院, 准教授 (50546471)
中村 誠司 九州大学, 歯学研究院, 教授 (60189040)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 口腔細菌叢 / 口腔がん / 化学放射線治療 / 次世代シーケンサー / 唾液 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、引き続き研究対象を根治的治療として手術を計画し術前治療として化学放射線治療(以下「術前治療」)を行った口腔がん患者として、対象患者の術前治療前から術後経口摂取開始までに対し、4つの時期(A:入院後で術前治療開始前、B:術前治療中の口腔粘膜炎が重篤な時期、C:手術直前の口腔粘膜炎がほとんど沈静化している時期、D手術が終了し経口摂取開始後の時期)を定めて分析検体に供した。また、比較対照群の一つとして、術前治療を行わず手術のみを施行した患者の術前、術後の検体を分析した。平成30年1月までに唾液採取に同意が得られ、検体を採取したのは42名117検体であった。このうち術前治療群の4つの時期のデータがそろっている19例について次世代シーケンサーIon PGMを用いて16S rRNA遺伝子解析を行ったところ、1.菌種数は術前治療前であるAの時期が最も多く、口腔癌手術が終了して経口摂取が始まったDの時期が最も少なかった。2.細菌叢構成の変動量は、Bの時期にいったん変動量が大きくなりCの時期にやや変動が小さくなり、Dの時期に最も大きくなった。3.菌種別の変化としては、Neisseria flavescens や Fusobacterium periodonticum の構成比率が術前治療と手術を含むがん治療の前後(Aの時期に対するB、C、Dの各時期)で減少した。というデータに加えて、4.術前治療を施行していない10例の術前術後の間で細菌叢構成の変動が少なかった。
以上より、口腔がんに対する化学放射線治療や手術などの治療が加わると菌種数が減少すること、手術後に経口摂取を始めると細菌叢構成が変動することがわかった。術前治療を行わなかった群で細菌叢の変動が小さかったことから、細菌叢の変動には化学放射線治療中の口腔粘膜炎発生や皮弁の有無といった粘膜状態の変化の影響が大きいことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
採取した検体の分析がほぼ終了して、学会発表も行えた。
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Strategy for Future Research Activity |
症例のデータを口腔がんの発生亜部位別、年齢層別などの面から検討してゆく予定。
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Causes of Carryover |
論文作成印刷費、旅費として期間延長願いを提出して30年度に繰り越した。
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Research Products
(2 results)