2014 Fiscal Year Research-status Report
エナメル上皮腫の骨浸潤メカニズムにおける上皮-間葉クロストーク
Project/Area Number |
26463019
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中村 典史 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (60217875)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸田 昭世 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50274064)
岐部 俊郎 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50635480)
岸田 想子 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (40274089)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 歯原性腫瘍 / 腫瘍間質 / 線維芽細胞 / 相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はエナメル上皮腫と腫瘍間質の線維芽細胞との相互作用を明らかとすることを目的としている。平成26年度は、我々が樹立したエナメル上皮腫不死化細胞株であるAM-3とヒト線維芽細胞株HFF-2、およびエナメル上皮腫病変部より採取し培養した線維芽細胞を用いて実験を行った。実験内容は、細胞の培養上清を用いた細胞刺激試験、細胞間の相互作用による遺伝子・蛋白発現の変化、破骨細胞分化や細胞遊走能・増殖能の変化について評価を行った。その結果、以下の知見が得られた。① AM-3細胞はHFF-2細胞に比べ、Interleukin(IL)-1α、IL-1β、IL-8、TNF-αといったサイトカインの遺伝子を高発現しており、中でも IL-1αの発現が著明であった。また、病変部嚢胞腔の内容液は IL-1α、IL-1β、IL-6、IL-8、TNF-αを高濃度に含んでいた。さらに、AM-3 培養上清も同様に測定した結果、IL-1αが高濃度に含まれていた。② AM-3の培養上清で刺激した線維芽細胞では、IL-6、IL-8 の遺伝子発現が著明に亢進した。さらに、AM-3細胞の培養上清刺激の際に、抗 IL-1α抗体または IL-1Ra(レセプターアンタゴニスト)を加えたところ、この反応は中和することが可能であった。さらに、タンパク分泌について評価したところ遺伝子発現の変化と同様の傾向であった。③ AM-3細胞の培養上清で刺激された線維芽細胞の培養上清は、AM-3細胞の細胞遊走能を有意に亢進した。また、その反応は抗 IL-6 抗体、抗 IL-8 抗体により中和することが可能であった。また、 IL-6、IL-8 で刺激した AM-3 細胞の細胞遊走能および細胞増殖能は有意に亢進した。 以上の結果は、エナメル上皮腫細胞は IL-1α分泌を介して間質線維芽細胞と相互的に働き、腫瘍の浸潤発育に有利な微小環境を形成する可能性を示すと考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに、平成26年度の研究成果は英論文雑誌に採択済である。また、その研究成果は今後の研究進展において非常に有意義である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、腫瘍細胞と腫瘍間質の線維芽細胞の相互作用が、エナメル上皮腫における骨破壊のきっかけになるであろう破骨細胞分化に対してどのような影響を持つのかについて研究を進める予定である。破骨細胞の前駆細胞であるマクロファージ株RAW264.7細胞を用い、腫瘍細胞の刺激を受けた線維芽細胞が破骨細胞分化に与える影響をTRAP染色やオステオアッセイにて評価する。
|
Causes of Carryover |
本年度計画していたエナメル上皮腫細胞と腫瘍間質線維芽細胞の相互作用が、破骨細胞分化・活性化誘導能に及ぼす影響に関する研究は、現在、実施中であり、その実験に必要な試薬や器具に関する支出が計画より少なかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に、エナメル上皮腫細胞と腫瘍間質線維芽細胞の相互作用が、破骨細胞分化・活性化誘導能におよぼす影響について、次年度計画した研究と併行して進める計画であり、必要な試薬や器具に使用される予定である。
|
Research Products
(4 results)
-
[Journal Article] Regulation of IL-6 and IL-8 production by reciprocal cell-to-cell interactions between tumor cells and stromal fibroblasts through IL-1α in ameloblastoma2014
Author(s)
Takao Fuchigami, Toshiro Kibe, Hirofumi Koyama, Shosei Kishida, Mikio Iijima, Yoshiaki Nishizawa, Hiroshi Hijioka, Tomomi Fujii, Masahiro Ueda, Norifumi Nakamura, Tohru Kiyono, Michiko Kishida
-
Journal Title
Biochemical and Biophysical Research Communications
Volume: 451
Pages: 491-496
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
-
-
-