2016 Fiscal Year Research-status Report
エナメル上皮腫の骨浸潤メカニズムにおける上皮-間葉クロストーク
Project/Area Number |
26463019
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中村 典史 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (60217875)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸田 昭世 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (50274064)
岐部 俊郎 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 助教 (50635480)
岸田 想子 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (40274089)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 歯原性腫瘍 / エナメル上皮腫 / 腫瘍間質 / 線維芽細胞 / 相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、研究代表者等が過去に樹立した不死化エナメル上皮腫細胞株を用いて、エナメル上皮腫の腫瘍上皮細胞と間質細胞との相互作用(クロストーク)が本腫瘍細胞の骨吸収破壊メカニズムに及ぼす影響を明らかにすることを目指す。 H26年度は、エナメル上皮腫細胞がIL-1α分泌を介して間質線維芽細胞と相互的に働き、腫瘍の浸潤発育に有利な微小環境を構築する可能性を明らかとした H27年度は、腫瘍細胞と間質細胞との相互作用がエナメル上皮腫の浸潤能に及ぼす影響について解明するための研究を行った。マトリゲル上培養法やDouble-Layered コラーゲンゲル 半球培養法による三次元培養実験において、緑色蛍光蛋白質(GFP)を遺伝子導入したエナメル上皮腫細胞株AM-1およびAM-3と赤色蛍光蛋白質(DsRED)を遺伝子導入した線維芽細胞株HFF-2を共培養して、エナメル上皮腫細胞の三次元的な挙動を観察した。その結果、マトリゲル上共培養法では、DsRED発現線維芽細胞が腫瘍細胞間の接触を支持するとともに、腫瘍細胞の遊走を誘導している像が得られた。 H28年度は,エナメル上皮腫細胞集団の周囲を線維芽細胞を含んだコラーゲンゲルでコーティングしながら、腫瘍細胞の挙動を観察した.その結果,AM-3単独では細胞間接着を保ったまま平滑な浸潤辺縁を維持し浸潤したのに対し、線維芽細胞存在下では複数の腫瘍細胞が細胞間接着を維持したまま浸潤突起を形成し、積極的に周囲に浸潤する様子が伺えた。また、その浸潤突起の先端には線維芽細胞が存在し、浸潤を誘導する様子が認められた。 エナメル上皮腫には複数の病理組織型が存在し、それぞれ異なる浸潤増殖様相を示している。今回の結果より、エナメル上皮腫の浸潤動態には元来の腫瘍細胞の特性のみでなく、腫瘍細胞周囲の線維芽細胞の存在も重要であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H28年度は、H27年度に構築したDL-CGH法による実験系に工夫を加えた上で実験を行った。まず、腫瘍細胞単独でのエナメル上皮腫細胞の集団的な細胞浸潤を評価した。その結果、異なる腫瘍型由来のエナメル上皮腫細胞株であるAM-1とAM-3では異なる細胞浸潤形態を示すことが分かった。さらに、エナメル上皮腫細胞集団の周囲を線維芽細胞を含んだコラーゲンゲルでコーティングすると、腫瘍細胞集団の浸潤動態は著明に変化した。特に濾胞型由来であるAM-3においてその変化は著明であり、AM-3単独では細胞間接着を保ったまま平滑な浸潤辺縁を維持し浸潤したのに対し、線維芽細胞存在下では複数の腫瘍細胞が細胞間接着を維持したまま浸潤突起を形成し、積極的に周囲に浸潤する様子が伺えた。また、その浸潤突起の先端には線維芽細胞が存在し、浸潤を誘導する様子が認められた。 エナメル上皮腫には複数の病理組織型が存在し、それぞれ異なる浸潤増殖様相を示している。今回の結果より、エナメル上皮腫の浸潤動態には、元来の腫瘍細胞の特性のみでなく、腫瘍細胞周囲の線維芽細胞の存在も重要であることが示された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、コラーゲンゲル内でエナメル上皮種細胞と線維芽細胞との共培養を行いながら,AM-1 とAM-3の浸潤増殖様相の違いについて詳細に観察する。また,上記のような腫瘍細胞と線維芽細胞との相互作用にどのような因子が関与しているのかについても調べていく。 その内容を国際学会に発表すると共に,論文に仕上げ,国際誌に投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
エナメル上皮腫細胞(AM-3及びAM-1)と線維芽細胞とのクロストークが腫瘍細胞の三次元的挙動に与える影響を調べるためにhemisphere assayを行なったところ、エナメル上皮腫細胞の線維芽細胞を含むコラーゲンゲル内での細胞移動、組織伸長が活性化されていた.しかし、AM-3と AM-1の間で伸長能や濾胞形成能に相違が見られたことから確認の実験が必要と思われる.さらに浸潤動態の違いに関わる因子について検討が必要と思われる.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
異なるエナメル上皮腫細胞株AM-3及びAM-1と線維芽細胞との相互作用にどのような因子が関与しているのかについて実験を行い,その結果を加えて国際学会への発表し、さらに論文発表を行う計画である.
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Research Products
(6 results)