2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26463022
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
山崎 安晴 北里大学, 医学部, 講師 (00210401)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 啓 北里大学, 医学部, 教授 (20197297)
杉本 孝之 北里大学, 医学部, 助教 (20365133)
熊澤 憲一 北里大学, 医学部, 講師 (60383618)
馬場 香子 北里大学, 医学部, 特別研修生 (90327411)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 未分化間葉系細胞 / 凍結保存 / 再生医工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
10年以上-80℃で凍結保存した腸骨由来間葉系細胞70検体のうち無作為に選んだ9検体を対象とした。凍結保存ヒト骨組織由来間葉系細胞を再培養し、安全性の評価としてG-band法による染色体検査、アレイ化CGH法による遺伝子検査を行ったほか、real-timePCRによるhTERT遺伝子の異常発現を確認した。さらにin vivoではHybrid型人工骨を作成しマウス背部皮下に検体を移植し、6ヶ月後腫瘍化の有無を確認した。結果:G-band法による染色体検査で1例に第2染色体長腕側の先端に逆位を認め、アレイ化CGH法による遺伝子検査でも第2染色体に逆位を認めた症例の同部位に欠失を認めた。またhTERT遺伝子の測定ではすべてに異常は認められなかった。さらにin vivoの腫瘍化検査では6検体中3検体に明らかな骨形成を認めた。形成された骨組織は成熟した骨組織で、その骨組織の一部にマクロファージによる吸収・線維化像を認めた。またコントロール群には骨形成は認めず、組織学的に新生骨以外に腫瘍形成は認めなかった。考察:我々の用いている長期凍結保存されたヒト骨組織由来間葉系細胞はその優れた骨形成能を報告してきている。臨床応用するにおいてはその安全性を確認することが重要である。平成26年度は安全性評価としてG-band法とCGH法による評価とhTERT遺伝子の発現の有無及びin vivo動物実験において移植6ヶ月後の代替骨に異常な組織増殖や腫瘍化像の確認を行ない、明らかな造腫瘍性は認められなかったが、一方でG-band法による染色体形態検査とCGH法による染色体異常検査において同一症例に異常所見を認めた。このことは骨形成等、臨床的に優位な間葉系細胞でも臨床に使用する前段階であらかじめ各検体ごとにG-band法による染色体形態検査とCGH法による染色体異常検査が最低限必要と考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々の臨床応用の独自性はヒト間葉系細胞の凍結保存にある。そのため凍結保存細胞の安全性確認は最も重要課題の一つである。そこでまず初めに10年以上凍結保存された間葉系細胞の染色体の形態学的検討、腫瘍化過程に出現するhTERT遺伝子発現、またにCGH法による遺伝子検索、さらに6か月間動物移植下の腫瘍形成の有無を行った。結果は9症例中1例に染色体の形態検索とCGH法で同一検体に異常所見を認めた。このことから実際に凍結保存細胞の安全を確保するためには、それぞれの検体ごとに必要で有り、臨床移植前検査として染色体の形態学的検索、CGH法による遺伝子検索、腫瘍化過程に出現するテロメアーゼ活性、hTERT遺伝子発現 等を調べる必要があるとの結論を得た。現在は他の研究課題にすでに着手しており順調に進行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
凍結保存間葉系細胞を無血清培養により再培養し間葉系細胞と培養上清を分離する。その後に生物科学的活性と骨形成能の比較確認(in vitro, in vivo)をする。1) in vitro:培養上清の成長因子測定としてIGF-1, VEGF, HGF等をエライザー法で行う。 2) in vivo:Scaffold はコラーゲンアパタイト(商品名:Refit)を使用する。scaffold、hBMCの上清+scaffold、hBMC+scaffold、hBMC の培養上清+hBMC+scaffold をそれぞれ動物頭蓋骨欠損モデル(ヌ-ドラット)に移植し、骨形成を組織学・免疫組織学的に比較検索する。
|
Causes of Carryover |
本年度は凍結保存間葉系細胞の安全性に関する研究が中心となり、予定していた凍結保存間葉系細胞のin vitro, in vivoの研究が一部開始のみとなったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は凍結保存間葉系細胞のin vitro, in vivoの研究が中心となるため本年度の研究の不足分も合わせて遂行出来ると考えている。
|
Research Products
(5 results)