2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26463031
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
川上 敏行 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 教授 (80104892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富田 美穂子 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (00366329)
中野 敬介 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (10325095)
辻極 秀次 岡山理科大学, 理学部, 教授 (70335628)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 顎口腔病変 / 細胞増殖 / 細胞分化 / 細胞移動 / 唾液腺腫瘍 / 異物肉芽腫 / 骨髄間葉細胞 / 骨髄移植実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
「顎口腔における増殖性病変の病理発生に関する研究」について,平成27年度は主として多形腺腫の細胞分化について遂行した。多形腺腫の腫瘍実質部分でCK7に陽性反応を示している導管上皮細胞部をNotchと比較することにより、一部の細胞の核内に陽性反応がみられることが明らかとなった。腺腔構造部の周囲に存在する充実性に増殖した腫瘍細胞の核内にも陽性反応があったことから腺管構造部における導管上皮細胞における細胞分化にNotchが関与し,まさに分化途上ということが示唆される。CK13にて染色を行った扁平上皮化生部については、Notchは基底細胞様細胞の核内から有棘細胞様細胞の核に反応がみられた。これが表層に向かうに従い核内に反応を示す細胞が少なくなっていったことから,基底細胞様細胞層の時点においては分化の最中であることが示唆され,有棘細胞様細胞へと基底細胞様細胞の分化が進んでいる。表層に向かうに従い、核内の陽性反応が弱くなっていることから,分化が完了に向かっていることが考察できる。また,多形腺腫に特徴的な構造である物である軟骨様部分、粘液腫様の組織部分は、核に反応がみられなかったため,それぞれの構造物へと分化が進み終わり,現在は分化が止まっている状態であると考察した。以上の事より,本研究から多形腺腫の多彩な細胞分化には部位によりNotchが大きく関与していることが示された。 さらに,コレステリン肉芽腫についても若干の研究を行い,は多数のマクロファージと多核巨細胞が出現する。しかし,その細胞性格について,さらに,線維芽細胞や毛細血管内皮細胞がどこから供給されるのかなどの知見は乏しい。そこで,実験的にコレステリン肉芽腫を惹起させ,増殖する細胞種とその動態を明らかにできた。 また,歯周組織における炎症性病変についての細胞増殖と分化の様相をも追究出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「顎口腔における増殖性病変の病理発生に関する研究」の研究課題について,平成26年度まで主として歯原性腫瘍,唾液腺腫瘍について行ってきた。平成27年度は主として「多形性腺腫における細胞分化」,「顎口腔に発生するコレステリン肉芽腫における細胞供給と分化」「歯周組織における各種条件下における細胞増殖における細胞動態」などのついて精力的に遂行する事が出来た。その結果,当初の予想通りの研究成果が得られ,大きな軌道修正をする必要が無かったためであろう。
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Strategy for Future Research Activity |
「顎口腔における増殖性病変の病理発生に関する研究」の研究課題について,平成27年度まで主として歯原性腫瘍,唾液腺腫瘍について行ってきた。また当初の予定より少し早く炎症性の細胞増殖病変についても検討する事が出来た。したがって,平成28年度は平成27年度までに得た研究知見を広く公表(論文の印刷公表,学会における発表など)する事を主体に行う積りである。
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