2015 Fiscal Year Research-status Report
BRCA2のDSBを介した温熱誘導細胞死における修復経路の選択機構の解明
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26463052
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
梶原 淳久 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (00382317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 昭久 群馬大学, 学内共同利用施設等, 教授 (60275336)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 温熱 / 相同組み換え修復 / DNA二本鎖切断 / BRCA2 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】これまでの研究で相同組み換え修復(HR)関連遺伝子BRCA2が温熱と関連していることが示唆された。そして、HRの一つの指標であり、BRCA2とcomplexを形成するRad51のfocusが温熱処理後増加することが確認された。温熱により誘導されたDNA二本鎖切断(DSB)がHRに依存した経路によって修復されることが示唆されたが、その理由には不明な点が多い。Kuが最初に温熱誘導DSBを認識していると仮定すると、なんらかの機序によって、DSB末端からKuが除去され、end-resectionを経てRad51のフィラメントが形成されなければならない。このプロセスでDNA-PK、ATM、ATRなどのリン酸化酵素によって、Kuがリン酸化されることが想定される。もし、温熱誘導DSBにKuのリン酸化が重要であれば、これらのリン酸化酵素の阻害剤を用いることで、温熱によるKuのリン酸化およびDSBからの解離を阻害することが可能であると考えられる。 【方法】チャイニーズハムスター由来の肺線維芽細胞をATR阻害剤(VE-821)3μM単独、44℃10分の温熱処理およびそれらの併用を行い、コロニー形成法によって生存率を算出した。 【結果】生存率はそれぞれVE-821単独で78%,温熱処理単独で71%であったのに対し、VE-821で処理し、同時に温熱処理をすると11%と著しい相乗効果が得られた。すなわち、温熱誘導DSBにはKuのリン酸化が重要である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
VE-821と温熱処理を併用することでRad51のfocus形成を免疫組織蛍光染色法で確認する予定であったが、予想通りの結果を得るに至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はHR阻害剤を用いた口腔腫瘍細胞の温熱殺細胞効果の確認を行う予定である。
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Causes of Carryover |
すでに購入済みである薬剤や消耗品で実験の施行が可能であった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は研究結果を論文にまとめ、投稿する予定である。また、当初の研究をさらに進めていくために、物品購入に使用する予定である。
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