2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26463063
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
磯村 恵美子 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (70397701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石濱 孝二 大阪大学, 歯学研究科, 招へい教員 (30432454)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 他科移植 / 舌 / 再建 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、舌を一臓器と考え、舌切除後に神経付きの他家移植を行い、舌そのもの全体の構造を再現することで舌切除部の機能回復が得られるのではないか、すなわち動静脈や表面粘膜、内舌筋だけでなく、外舌筋や神経などの断端もできるだけ正確に縫合することで、舌本来の細やかな動きを回復させることができるのではないかと考えた。 ところが、実際にイヌを用いて舌の他家移植を試みると、術直後は移植した舌の血流に問題がないものの、翌日より舌の浮腫が強く出現し、移植舌が壊死したり個体が死亡したりすることがほとんどであった。もっとも良好なもので2週間生着したまま生存したが、突然死亡し、移植舌の機能評価までは至らなかった。その原因としては、1)移植舌を小さくすることで浮腫の影響を最小限にしようと試みた結果、舌静脈の枝である舌深静脈を傷つけてしまい、血流不良に陥ってしまった、2)経口摂取制限をするために胃瘻から水分や栄養を補給していたが、その量が不足し脱水傾向にあった、という可能性がある。また、過去に研究でイヌの下顎骨他家移植(Tanaka(旧姓) et al. J Oral Maxillofac Surg 2004)や唾液腺他家移植(Isomura et al. J Oral Maxillofac Surg 2006, Isomura et al. Transplantation 2007)を行った際は、無作為のペアで他家移植をおこなっても問題なく生着したが、舌は血流が豊富なため抗原抗体反応が強く出てしまった可能性もある。これに対して今後は血液型を調べ、特に抗原抗体反応が強く出るといわれるDEA1.1型をドナー・レシピエントともに避ける必要があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
実際にイヌを用いて舌の他家移植を試みると、術直後は移植した舌の血流に問題がないものの、翌日より舌の浮腫が強く出現し、移植舌が壊死したり個体が死亡したりすることがほとんどであった。もっとも良好なもので2週間生着したまま生存したが、突然死亡し、移植舌の機能評価までは至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
舌の他家移植が成功しない原因としては、1)移植舌を小さくすることで浮腫の影響を最小限にしようと試みた結果、舌静脈の枝である舌深静脈を傷つけてしまい、血流不良に陥ってしまった、2)経口摂取制限をするために胃瘻から水分や栄養を補給していたが、その量が不足し脱水傾向にあった、という可能性がある。また、過去に研究でイヌの下顎骨他家移植や唾液腺他家移植を行った際は、無作為のペアで他家移植をおこなっても問題なく生着したが、舌は血流が豊富なため抗原抗体反応が強く出てしまった可能性もある。これに対して今後は血液型を調べ、特に抗原抗体反応が強く出るといわれるDEA1.1型をドナー・レシピエントともに避ける必要があると考えられた。
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Causes of Carryover |
舌の他家移植の成功率が低く、実験計画が大幅に遅れているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これまでの失敗例から改善法を導き出し、より長期間かけて舌の他家移植を確立し、移植舌の機能回復について検討する。具体的には、①.舌の半切除後、動静脈、外舌筋や神経を含めて再び縫合し、自家移植を行う。このモデルで他家移植に向けて術前術後管理、術式などを確認する(予備実験)。②.①により移植の術前術後管理、術式などの確認ができれば、さらに別の個体の舌の半切除を行い、その欠損部位に他の個体より切除した舌を外舌筋や神経を含めて移植を行う(他家移植)。③.移植後定期的に摂食・嚥下機能、味覚刺激に対する反応を調べ、舌の機能評価を行う。また、一定期間後に電気刺激にて舌の運動を評価する。舌半切後再建なしのモデルも作成し、機能評価時の対照群とする。
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