2015 Fiscal Year Research-status Report
長寿遺伝子Sirtuin 3の吸入麻酔薬による心筋保護作用における役割
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26463071
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
北畑 洋 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 教授 (60161486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 保夫 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 准教授 (90523499)
川人 伸次 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 特任教授 (60284296)
高石 和美 徳島大学, 大学病院, 講師 (20325286)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 心筋保護 / サーチュイン / 吸入麻酔薬 / イソフルラン / プレコンディショニング / カベオリン / アポトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
カロリー制限や飢餓によって発現するSirtuin(Sirt)ファミリー蛋白質が,吸入麻酔薬による心筋保護作用にカベオリンを介して関与することを検討した。 C57BL/6マウスを人工呼吸下に開胸し,左冠動脈前下行枝を30 分間閉塞し,120 分間の再灌流を行った。APC群では,冠動脈閉塞前に吸入麻酔薬イソフルラン 1MACの吸入(APC; anesthetic preconditioning 刺激)を30分間行い,15分間wash outした。Sirt群ではSirtの活性剤であるresveratrol(10 mg/kg)を冠動脈閉塞60分前に投与した。その後,心筋梗塞危険領域を同定するため,再び左冠動脈前下行枝を閉塞,10%Evans blue を注入し心臓を摘出した。心臓の横断スライスを作成,1%triphenyltetrazolium chloride で染色し,心筋梗塞範囲,梗塞危険領域および全左室の重量,各重量比を計測した。 コントロール群(41±4%、n=8)に対してSirt群,APC刺激群では心筋梗塞サイズは有意に減少した(30±7%、28±6%,P<0.05)。さらに,各群の組織サンプルを利用し,アポトーシスについてイムノブロッティング法にて評価を加えた結果,anti-apoptotic遺伝子の活性がSirt群およびAPC群で認められた。 次に共焦点顕微鏡を用い,Sirtとカベオリン-3の蛍光抗体にて反応させると,これらが共発現していることが明らかとなった。このことはSirtとカベオリン-3の抗体を用いた免疫沈降法によっても確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の実験計画に沿って,Sirtuinがカベオリン-3を介して吸入麻酔薬イソフルランによる心筋保護作用に影響しているかワイルドタイプマウスを用いて検討した。Sirtuin誘導薬であるresveratrol投与により,イソフルラン吸入と同程度に心筋梗塞サイズを抑制するだけでなく,抗アポトーシス作用を示した。またSirtuinがカベオリン-3と共発現することが確認され,Sirtuinによる心筋保護作用はカベオリン-3を介することが明らかになった。この結果を受けて,次年度の実験計画を予定通り遂行できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は,マウスをカベオリン-3ノックアウトマウスに替えて虚血再灌流実験を行う(実験計画書の実験4)。カベオリン-3ノックアウトマウスにはカベオラ構造が存在せず,このマウスを使用してSirtuinによる心筋保護作用の有無を検討することにより,Sirtuinによる心筋保護作用の発現が,細胞膜マイクロドメインを介する経路であることを明らかにする。 追加実験としてSirtuin 1についても同様の検討を行い,またSirtuinがミトコンドリア代謝因子に与える影響についても検討を加える。
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Causes of Carryover |
予備実験の結果から予想したよりも,平成27年度のワイルドタイプマウスを用いた虚血再灌流実験はデータにばらつきが非常に少なかった。そのため当初の予定よりもかなり少ない頭数でデータが得られ,研究費に残額が生じた。この費用は平成28年度のカベオリン-3ノックアウトを用いた実験のキット・薬品購入等に充てる予定である。また追加で行う予定のSirtuin 1の実験およびミトコンドリア融合・分裂蛋白のウェスタンブロット関連物品の購入に充てる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験計画は以下の通りである。 1. カベオリン-3ノックアウトマウスを用い平成28年度の各群に対して心筋梗塞サイズを測定し,カベオリン-3の影響を確認する。2. ワイルドタイプC57BL/6マウスを用いた虚血再灌流モデルにおいて,イソフルラン吸入による心筋保護作用にSirtuin 1の発現を伴っているか検討する。3. 同様のモデルにおいて,イソフルラン吸入がミトコンドリア融合蛋白であるOptic atrophy 1(Opa-1),Mitofusion(Mnf)-1・2および分裂蛋白Dynamin-related protein 1(Drp-1)へ及ぼす影響を検討する。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] C-terminal region of GADD34 regulates eIF2α dephosphorylation and cell proliferation in CHO-K1 cells.2016
Author(s)
Otsuka R, Harada N, Aoki S, Shirai K, Nishitsuji K, Nozaki A, Hatakeyama A, Shono M, Mizusawa N, Yoshimoto K, Nakaya Y, Kitahata H, Sakaue H
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Journal Title
Cell stress and chaperones
Volume: 21
Pages: 29 40
DOI
Peer Reviewed
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