2014 Fiscal Year Research-status Report
口腔顔面部神経障害性疼痛の発症機序の解明とその治療法の確立
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26463073
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉田 充広 広島大学, 大学病院, 講師 (40364153)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 神経障害性疼痛 / 慢性疼痛 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、本研究では、神経障害性疼痛の発症機序を、脊髄後角から皮質・中脳脊髄路、大脳辺縁系に至る神経系におけるグリア細胞の相互作用を時系列的に解明し、その発症機序にBDNFがどのように関係しているかを、下歯槽神経障害モデルおよび薬剤による慢性疼痛発症モデルを使用して明らかにすることを目的としているが、現在、安定した動物モデルの確立に取り組んでいる。また、一方で先行研究が多くある坐骨神経結紮モデルを使用して基盤となる研究に取り組んでいる。 現在までの坐骨神経結紮モデルを使用した動物モデルでは、ノルアドレナリン、セロトニンの再取り込みを阻害薬のイミプラミンを腹腔内投与により、坐骨神経結紮後の熱刺激に対する反応潜時には影響せず、強制水泳試験における不動時間(うつ様症状)の延長を軽減した。この効果は、選択的セロトニン神経毒の5,7-ジヒドロキシトリプタミン、anti-BDNF抗体で拮抗された。また、組織標本による評価では、イミプラミンの投与により、pERK1/2の活性化、pCREBの不活性化、5-HT/BDNF含量およびBDNFmRNAの低下を抑止した。これらのことから、イミプラミンは、5-HT含有神経の活性化とBDNF産生の促進を引き起こし、うつ様症状を軽減すると予想される。一方、イミプラミンはBDNF産生を促進するが、熱刺激に対する反応潜時には影響しなかった。この点については、今後、イミプラミンの投与量の変更による考察が必要であろうと考える。 今後は、動物モデルの早期の安定化を目指し、グリア細胞の活性抑制剤の投与により、マイクログリアの働きの急性痛から慢性痛にいたるまでの経時的変化の評価を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画で予定していた、動物モデルの安定化が得られていない。また、今年度、九州歯科大学から広島大学に異動したため、申請書作成時に想定していた研究環境と異なる部分があり、研究開始の準備に時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、研究のための準備はほぼ整っており、動物疼痛モデルの安定化を早期に目指す予定である。動物モデルの安定化を得た後に、グリア細胞の活性抑制剤の投与により、マイクログリアの働きの経時的変化の評価を行う予定である。
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Causes of Carryover |
九州歯科大学から広島大学に異動したため、申請書作成時に想定していた研究環境と異なる部分があり、研究開始の準備に時間を要し、予定していた実験装置の購入が遅れたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ラット用電子痛覚測定装置及び、実験に使用する薬品の購入。
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[Journal Article] Imipramine Ameliorates Pain-related Negative Emotion via Induction of Brain-derived Neurotrophic Factor2014
Author(s)
Yasuda S, Yoshida M, Yamagata H, Iwanaga Y, Suenaga H, Ishikawa K, Nakano M, Okuyama S, Furukawa Y, Furukawa S, Ishikawa T
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Journal Title
Cellular and molecular neurobiology
Volume: 34
Pages: 1199-1208
DOI
Peer Reviewed
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