2015 Fiscal Year Research-status Report
口腔顔面部神経障害性疼痛の発症機序の解明とその治療法の確立
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26463073
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉田 充広 広島大学, 大学病院, 講師 (40364153)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 慢性疼痛 / グリア細胞 / マイクログリア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、神経障害性疼痛の発症機序を、脊髄後角から皮質・中脳脊髄路、大脳辺縁系に至る神経系におけるグリア細胞の相互作用を時系列的に解明することを目的としている。動物モデルによる実験系では、計画ではラット下歯槽神経を結紮する下歯槽神経障害モデルおよび側脳室および脊髄くも膜下腔内への薬剤投与による慢性疼痛発症モデルを使用する予定であったが、安定した動物モデルが得られていない。一方で、急性痛から慢性痛に至る過程を観察できるcarrageenanの筋肉内投与による動物モデルを使用して基盤となる研究に取り組んでいる。 現在、3%carrageenanをラット咬筋に注入して慢性疼痛発症モデルを作成している。このモデルを観察したところ、carrageenan投与48時間までは急性痛が発症し、その後投与後2週間ぐらいまでが移行期、投与後2週間で慢性痛が発症することがわかってきた。また、発症した慢性痛はcarrageenan投与後約6週間で症状が消失するようである。このモデルを使用して、急性痛から慢性痛にいたるまでのマイクログリアの働きの経時的変化の評価をマイクログリアの活性抑制剤(ミノサイクリン塩酸塩)を投与することで行っている。マイクログリアの活性抑制剤の投与により、急性痛発症の抑制は起こらないが、慢性痛発症は抑制されることが確認され。今後、マイクログリアの活性抑制剤の投与時期を変えることで、急性痛から慢性痛に至る過程のどの時期のマイクログリア活性を抑制することが慢性痛発症の抑制に効果的かを観察するとともに、慢性痛発症の抑制には何が関係しているのかを探索していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験計画で使用予定であった動物モデルの安定化が得られず、基盤的な研究をするためにcarrageenan注入による別の慢性疼痛発症モデルを取り入れたため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、実験計画で使用予定であった動物モデルの安定化を目指すと同時にcarrageenan注入による慢性疼痛発症モデルを使用して、慢性痛発症とマイクログリア活性の関係について探索して行く。
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Causes of Carryover |
当初の実験計画で使用予定であった動物モデルが安定せず、実験の遂行に遅れが生じているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き、実験計画で使用予定であった動物モデルの安定化を目指すと同時にcarrageenan注入による慢性疼痛発症モデルを使用して、慢性痛発症とマイクログリア活性の関係について探索して行く予定であり、薬品、試薬の購入で使用する予定である。また、熱刺激装置の購入の検討を行っている。
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Research Products
(1 results)