2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26463075
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
遠藤 千恵 岩手医科大学, 歯学部, 助教 (10306037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 重信 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (10177917)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 気管チューブ / 細菌 / 口腔レンサ球菌 / 全身麻酔 / 経口挿管 |
Outline of Annual Research Achievements |
全身麻酔の際の経口挿管では、気管チューブと口腔粘膜との接触が避けられないことから、気管チューブに付着した口腔細菌の気道内侵入により、術後感染症を引き起こす可能性があり、術前の口腔ケアの重要性が指摘されているもののチューブに付着した口腔細菌種についての詳細や口腔ケアとの関連性については明らかにされていない。初年度の研究では、全身麻酔時に経口挿管した気管チューブに付着した細菌数と菌種について検討し、さらに口腔ケアとの関連性についても検討を行った。 対象は、本学附属病院における経口気管挿管の施行を前提とした全身麻酔下手術予定患者とした。口腔内診査後、口腔ケア実施群(OC群)では、手術1週間前と手術前日にTBI、スケーリング、歯面研磨を行った。また、対象者全員から手術当日の起床直後の唾液1mlを採取した。抜管した気管チューブ及び唾液より付着細菌を回収し、5%ヒツジ血液寒天培地およびMitis-Salivarius(MS)寒天培地に播種し、培地に生育したコロニー数を計測した。その結果、OC群では、非実施群(NOC群)と比較して気管チューブに付着した総細菌数およびレンサ球菌数が有意に低かった。一方、チューブに付着する総細菌数・口腔レンサ球菌数と唾液中のそれとはいずれも有意な相関関係が得られなかったことから気管チューブへの付着細菌数と唾液中の細菌数とは関連しないことが示唆された。 次年度の研究においては、気管チューブに付着しやすい菌種を検討し、菌株を用いて気管チューブへの付着実験を行った。その結果、Streptococcus mutansおよびStreptococcus sobrinusが他の口腔レンサ球菌に比べて有意に気管チューブに付着することが明らかとなった。 本研究により得られる成果は、術後感染症、特に術後性肺炎の予防と発症リスク解明の契機となるものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度では、全身麻酔時に経口挿管した気管チューブに付着した細菌数と菌種について検討し、さらに口腔ケア(PMTC)との関連性についても検討を行う予定であった。その結果、口腔ケア実施群では、非実施群と比較して気管チューブに付着した総細菌数およびレンサ球菌数が有意に減少した。一方、チューブに付着する総細菌数・口腔レンサ球菌数と唾液中のそれとはいずれも有意な相関関係が得られなかったことから気管チューブへの付着細菌数と唾液中の細菌数とは関連しないことが示唆された。また、次年度においては、前年度の結果をもとに気管チューブに付着しやすい菌種を検討し、S.mutansおよびS.sobrinusが他の口腔レンサ球菌と比較して有意に付着しやすいことが解明され、当初の予定通り結果が得られおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度から得られた結果をもとに、S.mutansおよびS.sobrinusの気管チューブへの定着と全付着細菌数の関連性について検討を加えるとともに、菌種特異的real-time PCR法による気管チューブ付着細菌種と口腔細菌叢の定量解析を行い、経口気管挿管手術における事前口腔ケアの有効性を明らかにする予定である。
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