2014 Fiscal Year Research-status Report
人工呼吸関連肺炎予防のための経口気管挿管患者に対する最適な口腔ケア方法の確立
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26463083
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
岸本 裕充 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (30291818)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 口腔ケア / 人工呼吸関連肺炎 / 集中治療 / 気管挿管 / 気道管理 / 保湿 / 吸引 / 口腔洗浄 |
Outline of Annual Research Achievements |
人工呼吸関連肺炎(VAP)を予防するための最適な口腔ケア方法を確立するために,VAP発症の予防が喫緊の課題である当院の救命救急センターに収容される患者を対象として,本年度の研究を開始した. 1. 毎日の口腔ケアを担当する救命救急センターに所属する看護師107名を対象として,口腔ケアに関する知識を深めるための講演会,実技(ケア方法,菌量測定などを向上させるための研修会を実施し,均霑化を図った(部署の性格上,全員同時に参加することは困難なため,同一内容を3回ずつ開催). 2. 経口気管挿管を48時間以上継続することが予測される患者を,「従来法」として,1日3回の歯みがきおよび口腔洗浄を主体とする群,「介入法」として,海外のICUで普及しているディスポーザブルの口腔ケアキット"Q Care"を使用する群,以上の2群に無作為に振り分けた.Q Careでは,吸引歯ブラシによるケアを1日2回,吸引スワブによるケアを1日1回の計3回で,口腔洗浄を実施しないのが特徴である. 3. これまでの口腔ケアによる介入研究では,口腔ケアによる菌量の変化,特に口腔よりも気管・肺により近い咽頭部の菌量を評価したものがなかった.このため,ケア実施前後における咽頭部の菌量の変化を,菌量を迅速に測定可能な「細菌カウンタ」を使用して評価した. 4. 現時点で,経口気管挿管を48時間以上継続し,評価の対象とできる症例数は,従来法が12例,介入法が14例で,そのうちVAPを発症したのは,従来法で4例,介入法が3例であった.VAPの判定基準はCPISで6点以上とした.症例数を増やすため,研究を継続中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は心臓外科や食道癌などの予定手術後にICUへ収容される患者を対象としていたが,これまでのケアの実践で人工呼吸関連肺炎(VAP)の発症率は既に他施設よりも少なく,介入による予防効果を証明することは容易でない.そこで,本研究への協力に不可欠で,かつ実際にケアに従事する現場のナースの意見を尊重し,手術を予定している患者ではなく,VAP発症の予防が喫緊の課題である救命救急センターに収容される患者を対象とすることに変更した. 当院の救命救急センターには,107名の看護師が所属しており,毎年20%以上が異動や退職で入れ替わる.このため,口腔ケアに関する教育を行い,本研究の鍵の1つである菌量測定も含めた手技の均てん化を図るための準備に,予定よりも時間を要した. また,VAPの予防が目的であるため,経口気管挿管を48時間以上継続することが予測される患者を対象に研究を開始しているが,48時間以内に病状が回復して抜管や患者や,逆に死亡する患者もおり,評価対象となる症例の集積が予定よりも遅延している.
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Strategy for Future Research Activity |
救命救急センターでのVAP発症が予測していたよりも多く,その原因として,救急搬送され緊急手術を受ける患者では,初回の口腔ケアの実施が手術後になる場合があることが判明し,これが影響している可能性がある.VAP発症率が高いことは,口腔ケア以外のケアの質やコンプライアンスの低さを反映している,と解釈される可能性があるため2群ともに,初回の口腔ケアをできる限り速やかに実施できる体制に変更する.
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Causes of Carryover |
研究計画を変更し,予定手術後にICUへ収容される患者から,救命救急センターへ収容される患者を対象にすることにした.そのため研究の開始が遅れ,調査のための旅費および人件費・謝金(実験補助の雇用)が予定よりも少なくなった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度分に予定していた研究の遅れを取り戻すため,実験補助の雇用期間を長くする予定.
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Research Products
(16 results)