2015 Fiscal Year Research-status Report
顎骨内応力解析を用いた成長シミュレーションによる顎変形症診断システムの開発
Project/Area Number |
26463090
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
齋藤 功 新潟大学, 医歯学系, 教授 (90205633)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹原 惇 新潟大学, 医歯学系, 助教 (10636228)
槇 宏太郎 昭和大学, 歯学部, 教授 (80219295)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 顔面非対称 / 顎偏位 / 有限要素解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は顎偏位症例においてみられる成長による実際の顎骨形態の変化と、有限要素法による応力解析で得られた成長前期の上下顎骨における顎骨内応力分布の関連性とを検討することで、顎偏位を増悪させる生体力学的要因を解明し、成長期の顎偏位を伴う顎変形症患者に対する効果的治療法を選択する診断システムを確立することである。 平成27年度は初年度に選定した顎変形症例の頭部CT画像を用いて有限要素解析に必要な3次元画像モデルの作成を行う予定であった。当初、初年度中に整備予定であった解析環境については、予備解析として所蔵のコンピュータにて解析を行ったところ、解析時間の遷延が大きく、円滑な研究遂行に支障が出ることが懸念されたため、27年度半ばに新たに解析用ワークステーションの調達を行った。また、有限要素解析ソフトウェアパッケージを導入予定であったが、モデル作成後の解析ステップにおいて、後述する超弾性体モデルを用いた解析を行うことが難しいことから、モデル作成ソフトウェアと有限要素解析ソフトウェアを別々に導入した。その結果、当初の予算よりも低い費用で研究遂行に不可欠な解析環境の整備を行うことができ、年度後半からはモデルの作成を行うことができた。これまでに行った予備研究の結果から、特に咬合力を顎骨へ伝播させる場合に最も重要となる歯根膜の構造は超弾性体としての性質を考慮する必要があることが明らかとなったため、Moony-Rivlinタイプの超弾性体モデルを採用することとした。また、パラメータを設定し呼び解析を行ったところ、実際の咬合力に近似した値が得られ、モデルの生体等価性が確保できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度中に解析環境の整備とモデル作成を行う予定であったが、モデル作成はほぼ完了し、現在は詳細な解析設定を行っている。特に、当初導入予定であった有限要素解析ソフトウェアパッケージに付属しているソフトウェアではなく、モデル作成に特化した専用ソフトウェアを導入したことで、モデル作成の効率が大幅に向上し、本年度中にモデルの作成を完了することができた。これに伴い、昨年度の遅れを取り戻すことができ、当初の予定通りに解析と応力分布の検討、診断システムの構築を行うことができると考えている。また、予備解析で明らかとなった歯根膜構造の超弾性体モデルの導入に関しては、本年度からソフトウェアベンダーからの解析サポートを受けることで、専門的な技術提供によってパラメータの選択とその設定について知見を得ることができ、最終年度での円滑な研究遂行に寄与すると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は当初の研究計画に従って、作成したモデルを用いて本解析を行い、顎骨内応力分布と成長による顎偏位との関連について検討を行う予定としている。次年度の早い時期に本解析の結果から成長変化との比較、および顎骨内応力分布と顎偏位の様式について分析を行った上で、顎骨内応力を左右で均一にするための方策を検討し、早期治療による顎偏位の増悪を予防するための治療システムの確立を図る。
|
Causes of Carryover |
当初導入を予定していた、有限要素解析ソフトウェアパッケージMechanical Finderに変えて、SimplewareとAutodesk Simulation Mechanicalを導入したため、計上していた予算よりも費用を抑えて解析環境の整備を行うことができ、次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
これらは翌年度分の助成金と合わせて、主に研究成果発表のための旅費と、論文作成時の英文校正の費用、ソフトウェアベンダーからのテクニカルサポートの費用に充てることを計画している。
|
Research Products
(9 results)