2015 Fiscal Year Research-status Report
象牙芽細胞の分化におけるエピジェネティック制御機構の解析
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26463092
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹内 優斗 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (60721454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三原 聖美 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (00551920)
山城 隆 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (70294428)
柳田 剛志 岡山大学, 大学病院, 講師 (90534793) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | エピジェネティック / 象牙芽細胞 / 分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯の先天性欠如や低形成の原因を解明し、再生医療を実現するためにも、象牙芽細胞分化の分子機構の解明は重要である。象牙芽細胞の分化は歯原性上皮との間で生じる上皮間葉相互作用によって空間的、時間的に極めて精密に制御・維持されていることが大きな特徴である。細胞はゲノムDNAの塩基配列で規定された情報をもとに分化・増殖し、機能を果たす。しかしながら、上皮間葉相互作用を介し、細胞の足場や細胞周辺の微小環境で複雑に制御される象象牙芽細胞の分化を、ゲノムの塩基配列のみから説明をすることは困難である。そこで、本実験では、塩基配列によらない、細胞外部の環境変化等の後天的な遺伝子発現制御機構であるエピゲノムに着目するという発想に至った。 本年度は昨年に引き続き、mDP象牙芽細胞株をもちいて、歯髄幹細胞の維持と象牙芽細胞分化におけるエピジェネティック修飾の動態を検討した。現在、Formaldehyde-Assisted Isolahon of Regulatory Elements(FAIRE)法を用いて、マウス象牙芽細胞様株mDP細胞における象牙芽細胞の分化に特異的なオープンクロマチン領域の解析の解析条件を検討しているところである。 一方、histone deacetylase (HDAC) を阻害すると、象牙芽細胞の分化が制御されることは知られている。最近、塩化リチウムはhistone deacetylaseを阻害することが報告されていることから、塩化リチウムが象牙芽細胞の分化に及ぼす影響をin vivoでも検討を行った。その結果、塩化リチウムを投与すると象牙芽細胞の分化が促進することが明らかになり、エピジェネティックな修飾が象牙質形成に関与する間接的な所見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Faire法によるエピジェネティック修飾の解析から、予想した結果が得られていない。実験条件を変更しなければならない。一方、最近、塩化リチウムが象牙芽細胞分化にin vivo, in vitroの両方で、影響することを見出した。一方、この塩化リチウムがHDACを制御することから、塩化リチウムがHDACを制御して象牙芽細胞分化を制御する可能性を示す所見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
Faire法による解析では、現在のところ予想した結果が得られていない。その場合は、昨年度、見出いた、塩化リチウムがHDACを介したエピジェネティックな影響を検討する。
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Causes of Carryover |
試薬購入時に安価なものに変更したため少し誤差が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度の試薬購入に組み入れる予定である。
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