2015 Fiscal Year Annual Research Report
非症候群性原発性萌出不全の病態および分子機構の解明
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26463094
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
住吉 久美 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (80625161)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 隆 岡山大学, 大学病院, 講師 (00534786)
中村 政裕 岡山大学, 大学病院, 助教 (20708036)
片岡 伴記 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50580180)
柳田 剛志 岡山大学, 大学病院, 講師 (90534793)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 非症候群性原発性萌出不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
非症候群性原発性萌出不全;Primary Failure of Tooth Eruption(PFE)は、近年矯正歯科臨床において遭遇する機会が増加している疾患である。この疾患の特徴は、歯の継続的な萌出メカニズムが阻害されることにより、咀嚼・発音といった日常生活を担う上で重要な機能障害が起こることである。現在までに、PFEの原因遺伝子としてPTH1Rが同定されているものの、詳細な発生機序およびこれらを取り巻く分子調節メカニズムは未だ明らかとなっていないのが現状であることから、本研究においてはPFEの病態に関わる分子機構の解明を目的とし研究を開始した。PFE患者から採取したPFE罹患未萌出歯および正常萌出歯から歯髄および歯根膜組織を採取・細胞培養、RNAを回収し、これらのサンプル間でいかなる遺伝子発現の変化が起こっているのかをマイクロアレイ分析にて解析した結果、PFE罹患未萌出歯サンプルで統計的に有意に低下する遺伝子が103、増加する遺伝子が155あることが分かった。またパスウェイ分析を行った結果、PFE罹患未萌出歯サンプルにおいてRANKLを中心とする骨芽細胞・破骨細胞シグナリングパスウェイが有意に低下する一方、TNF・IL-6、8といった炎症性サイトカインは有意に増加していた。以上の結果から、現在までに原因遺伝子として明らかになっているPTHRの変異によるRANKLの発現低下を原因とした骨リモデリングの低下が起こり、そのフィードバックとして炎症性サイトカインが増加したと考えられる。現在までに、歯の萌出阻害は骨リモデリングの異常が主な原因であると考えられてきたが、未萌出歯周囲の歯根膜組織においても遺伝子発現レベルの変化が確認されたことから、歯根膜組織および周囲骨組織における相互関連メカニズムが、PFEの病態発生機序および正常歯の萌出に重要な役割を果たす可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)