2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26463106
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
菊入 崇 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (10322819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 善隆 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (30230816)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 歯学 / 間葉系幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
乳歯歯髄由来間葉系幹細胞は、骨組織の再生医療における有用な幹細胞資源であるが、移植後にどのような分化転換機構を経て骨細胞へ誘導するか、その作用機序は明らかになっていない。幹細胞を用いた骨再生医療を実施するためには、この分化転換機構を明らかにする必要があるため、乳歯歯髄由来間葉系幹細胞の分化転換機構について検討を行った。 マウスの頭頂部に人工的に作成した骨欠損部に、乳歯歯髄由来間葉系幹細胞を移植し、継時的に骨欠損部に再生した骨組織の状態の観測を行った。結果、乳歯歯髄由来間葉系幹細胞のみを移植した実験群では、1ヶ月後には移植した担体の周囲にわずかに石灰化した層板状の骨様構造物が確認された。2ヶ月後には担体の周囲に広範囲な石灰化が亢進した骨様組織が再生していることが確認されたが、担体は吸収されずに残存したままであった。一方、乳歯歯髄由来間葉系幹細胞とともに造血幹細胞を移植した実験群では、1ヶ月後において担体の一部が吸収され、その周囲に成熟した骨様組織が再生していた。さらに2ヶ月後には担体の大部分はほぼ吸収されており、形成した骨欠損部は再生した新生骨に置き換わっていた。また、間葉系幹細胞のマーカーに対する免疫染色を行ったところ、乳歯歯髄由来間葉系幹細胞と造血幹細胞との共存培養を行った実験群では乳歯歯髄由来間葉系幹細胞を単独培養した実験群と比較して、細胞表面に幹細胞マーカーを強く発現している細胞が多く存在していることが判明した。以上の結果から、乳歯歯髄由来間葉系幹細胞と造血幹細胞間には何らかの相互作用が存在し、乳歯歯髄由来間葉系幹細胞の幹細胞として可塑性を維持している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に沿って順調に研究が進んでいる。さらに、研究計画書作成時と比較して新しい知見が得られており、今年度の実験を継続することでさらなる成果を上げられる可能性があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は新たな実験として、GFPマウスから採取した造血幹細胞をトレーサーとして使用して、移植した幹細胞の動態を観察する。また、新生した骨組織がドナー由来であるかもしくはホスト由来であるか検索し、間葉系幹細胞と造血幹細胞との相互作用について組織学的に明らかにする。
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