2016 Fiscal Year Research-status Report
小児における睡眠時無呼吸症の病態解明へ向けた臨床的検証
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26463122
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
小森 成 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (90267229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇塚 聡 日本歯科大学, 生命歯学部, 准教授 (00318544)
大津 光寛 日本歯科大学, 生命歯学部, 准教授 (30307962)
三ツ林 裕巳 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (80267228)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 睡眠時無呼吸症 / 小児 / 頭部エックス線規格写真 / 携帯型睡眠検査装置 / 骨格的形態 / いびき / 覚醒 / 口腔模型 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本歯科大学附属病院矯正歯科にて混合歯列前期であり、さらにArch Length Discrepancy が-5mm未満の軽度から中等度の叢生を示す矯正歯科治療適応患児のうち保護者が研究に同意したものを対象とした。なお、除外項目に該当するものを除外したため、対象は21名(男児8名、女児13名)となった。 矯正治療としては上下顎歯列を側方拡大することにより叢生を改善する。この際の矯正装置にはスクリューを組み込んだ可撤式矯正装置を用いた。頭部エックス線規格写真よりSNA、SNB、Wits等を含む角度分析ならびに線分析を行い、上下顎骨の形態的特徴を分析した。患児の口腔内より採得した印象より作製した歯列模型を用いて、歯列弓幅径、歯列弓長径、大臼歯歯軸傾斜、overjet、overbite等の形態的特徴を計測した。携帯型睡眠検査装置による簡易PSG検査より、呼吸、いびき、SpO2、脈拍数、体位、体動をパラメータとしたデータを収録した。しかし、睡眠中の各エポックを検討したところ、鼻カニューレが脱離していたと判断される症例が大半を占め、さらには指に装着するSpO2プローブが脱離している事例があった。 各種評価項目のうち睡眠の評価はOSA群と非OSA群との判定に関わるもので、睡眠評価の不正確さは研究の質の根幹に関わる。鼻カニューレを用いない簡易PSG装置を検討し、早急に研究計画を改善する必要が生じた。そこで鼻カニューレを用いない簡易PSG装置(ウォッチパッドユニファイド、フィリップス社製)を採用しセンサープローブが小児に対応できるかを確認して改めて研究を継続することとした。センサープローブの形状は指に巻きつけるのではなくキャップ状に覆う形状のため脱離の心配はないが、指が小さいことによるセンサーとの適合性が懸念され、当面はFull PSG検査と併用しながら適用の可否を判断する必要が生じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
頭部エックス線規格写真、口腔模型による分析についてはデータベースを構築する体制を整えたが、鼻カニューレやSpO2プローブの脱離が問題となり簡易PSG検査による睡眠評価を根本的に見直す必要が生じた。矯正治療前後の比較ができる症例数は少ないながらも増えてきたが、簡易PSG装置の問題により信頼性の高いデータを取得するという点からこれまでの症例は研究から除外することを判断した。 そこで鼻カニューレを用いない簡易PSG装置を導入し、センサープローブが小児に対応できるかを確認して改めて研究を継続することとした。しかしこの簡易PSG装置は体位やSpO2等の指標から演算して無呼吸・低呼吸指数を算出するため、測定結果を小児に適応できない可能性が高い。そこでFull PSG検査と併用して測定して測定データの相同性を検証することとした。しかしFull PSG検査は入院検査のため小児の場合は家庭の事情から検査に同意していただけないことが殆どで、研究は滞っている。できれば5症例ほどのFull PSG検査が獲得できたら新規簡易PSG装置の有効性が判断できると思われる。新規簡易PSG装置の再現性を確認次第臨床データの採得を再開する。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに構築した、頭部エックス線規格写真、口腔模型から得られるデータベースについては問題はないと考えられる。しかし、睡眠の評価は研究の根幹に関わるため、鼻カニューレを用いない簡易PSG装置を検証の上で導入することが急務と思われる。しかし新規簡易PSG装置は成人の使用を想定しているため、小児の使用は慎重に行う必要がありFull PSGとの併用により評価する。Full PSG検査は入院を伴うため患者と保護者の同意において困難が予想されるが協力者を継続的に募ることとする。 さらに、矯正装置による拡大が終了した後も拡大しないで装置の装用をつづけるが、この装用のみの観察期間は1年とするため、研究の長期化が予想される。しかし、対象となる患児は発育途上にあるため、治療後の成長により効果が持続するか、あるいは減少するかという長期的観察報告はこれまでに無く、さらに臨床効果の持続性を確認する観点からも重要と考えられる。
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Causes of Carryover |
データの集積が比較的緩徐なため 当面は既存設備の装置でデータを蓄積し、必要に応じてデータ解析保存装置を購入することを判断したので、当該機器の金額が繰り越された。なお、本予算で携帯型睡眠検査装置2台を運用すると故障時のバックアップができなくなるために、1台とレンタルによる運用を検討した。しかし、実際には大半の患児で鼻カニューレが外れたまま計測されていることが判明し、研究方法を再検討する必要からレンタル費用が生じていないために相当金額が繰り越された。しかし、プローブ脱離を解決するために新規携帯型睡眠検査装置を購入したために当該費用が生じたが成果発表に至らないために発表のための金額が繰り越された。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
鼻カニューレを用いない簡易PSG装置を検証の上で臨床研究を再開するが、センサープローブについては単回使用のため次年度使用額の予算ををこれに充てる。データ解析保存装置は研究の進行に応じて購入する。携帯型簡易PSG装置について、今後レンタル費用が生じる場合は次年度使用額の予算ををこれに充てる。
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Research Products
(2 results)