2015 Fiscal Year Research-status Report
歯胚消失モデルマウスを用いた基底膜分子の機能的役割の解明
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26463126
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
朝田 芳信 鶴見大学, 歯学部, 教授 (20184145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊平 弥生 鶴見大学, 歯学部, 学内講師 (40200018)
成山 明具美 鶴見大学, 歯学部, 助教 (90440304)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ラミニン / インテグリン / 歯胚 / 基底膜 / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
EL/seaマウスにみられる歯胚の形態異常は上皮側から間葉側へのシグナル伝達の異常を示唆するものである。基底膜分子の異常により上皮細胞の転写因子や成長因子(とくにSHH)が機能せず、上皮から間葉側へシグナル(Pax9およびLef1)が十分に伝わらないことが仮説として考えられる。この流れの中で、ラミニンα5とインテグリンβ1に注目することになった。その理由は、①上皮と間葉の間に介在し、様々な成長因子の伝達が行われる基底膜に存在する。②インテグリンβ1を介するラミニンα5への接着はPI3KからAKTを促進する、すなわち抗アポトーシスとして働くこと、ラミニンα5のノックアウトマウスにおける歯胚の形態異常がEL/seaマウスにみられる形態異常と類似しているためである。 ラミニンα5とインテグリンα6β1のISHの発現についてEL/KwとEL/seaマウスの間で明らかな違いが認められた。とくに、Kw5日齢とsea7日齢の比較において、内エナメル上皮における発現が極性を失っている可能性を示唆している。EL/Kw7日齢とEL/sea10日齢においても、同様な所見が得られた。すなわち、ラミニンα5と基底膜分子の受容体の1つであるインテグリンα6β1に異常が生じることで、①上皮内の成長因子であるSHHの発現に異常が見られ始め(EL/seaの5日齢)、その影響が間葉組織のPax9さらにはLef1の発現に影響を与えるため歯胚の形態形成が進まなくなる。②インテグリンシグナルを介しエナメル芽細胞の極性形成が誘導されるが、その機能が十分に働かない可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歯胚消失モデルマウスを用いた基底膜分子の機能的役割について検討を進めているが、基底膜分子であるラミニンα5とその受容体であるインテグリンβ1の相互作用が正常に働かないため、上皮組織における転写因子や成長因子が機能せず、歯胚の発育が正常に進まないことが分かった。しかしながら、歯胚消失の主因が細胞活性レベルの低下によるものか、アポトーシス関連遺伝子の発現異常や抗アポトーシスが機能しないためなのかは、現在のところ不明である。
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Strategy for Future Research Activity |
ラミニンα5とその受容体であるインテグリンα6β1を介するシグナルは、PI3KからAKTを促進することから、このシグナルに異常が生じることで抗アポトーシスが機能しないことが考えられることから、TURNEL法での比較検討とアポトーシス関連遺伝子(Caspase-3, KI67, P16, P21, Hsp27)の発現についても検討する必要がある。
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Causes of Carryover |
上皮と間葉の相互作用の視点から、Bmp2遺伝子やMsx2遺伝子(上皮に発現し間葉組織の成長因子や増殖因子を誘導する因子)やFGF4およびFGF9遺伝子を標的遺伝子と考えているが、当該年度では絞込みが十分にできなかったため抗体の準備が間に合わなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
EL/seaマウス(5日鈴、7日鈴、10日鈴)とEL/kwマウス(1日鈴、5日鈴、7日鈴)を対象にFGF4およびFGF9遺伝子の発現を検討する予定であるが、抗体の準備が遅れたため次年度にマウスを購入する予定である。
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Research Products
(1 results)