2016 Fiscal Year Annual Research Report
A profiling of citrullination in relation to shared mechanisms in periodontitis and rheumatoid arthritis
Project/Area Number |
26463130
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小林 哲夫 新潟大学, 医歯学総合病院, 准教授 (00215344)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 歯周炎 / 関節リウマチ / シトルリン化 / 発症メカニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、歯周炎と関節リウマチ(RA)に共通する発症機序を解明するため、RA患者ならびに年齢・性別・喫煙・歯周状態が同程度のRAに罹患していない対照患者を対象に、歯周病原菌Porphyromonas gingivalisの感染レベル、シトルリン化変換酵素(PAD)発現、シトルリン化蛋白レベルのプロファイリングを行い、歯周炎とRAに共通した発症機序の解明を試みることである。 本年度は最終段階として、インフォームド・コンセントが得られたRA患者60名の生物学的抗リウマチ薬(bDMARD)治療前と治療6ヶ月後に歯周・リウマチ検査、血液採取を行ない、血清を抽出後にP. gingivalis由来PAD(PPAD)および環状シトルリン化ペプチド(CCP)に対する血清抗体価をELISA測定した。ベースラインの抗PPAD抗体価中央値を基準にして、高値群(30名)と低値群(30名)に分類した。その結果、治療6ヶ月後の低値群のRA活動度は高値群と比べて有意な改善を認めた。また、低値群ではRA活動度と抗CCP抗体価の改善量も有意に大きかった。さらに、ベースライン抗PPAD抗体価はRA活動度と抗CCP抗体価の変化量と有意な正の相関を示した。年齢、性別、喫煙、歯周状態を調整した重回帰解析の結果でもベースライン抗PPAD抗体価はRA活動度の変化量と有意な正の相関を示した。 研究期間全体を通じた研究成果として、PPADに対する血清抗体反応はシトルリン化蛋白レベル、RA発症と関連しており、リウマチ薬物治療に対する反応性にも関与する可能性が示唆された。これは、歯周病原菌の口腔内感染がリウマチの発症や再発に関与する作用機序の一端を示唆するものであり、歯周炎とRAの共通発症機序の解明のための基盤的エビデンスになりうる点で学術的・社会的意義があると考えられる。
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