2014 Fiscal Year Research-status Report
小胞体ストレスを介した歯周組織破壊機構の分子基盤解明
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26463131
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
本田 朋之 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (30447635)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 歯周炎 / 小胞体ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
感染・炎症においては,小胞体ストレスとその細胞応答(UPR)が惹起され,UPRはさらに炎症を誘導することが知られている.申請者らはこれまでに,ヒト歯周炎罹患歯肉組織においてUPR関連遺伝子発現が上昇していることを報告した.歯周炎の病態形成に小胞体ストレスが関与している可能性があり,本研究においてそのメカニズムを解明する. 本年度はまず,P.gingivalis口腔感染マウスモデルを用いて,小胞体ストレスの関与を明らかにした.本マウスモデルの歯肉組織においては,非感染マウスに比較して,UPR関連遺伝子発現の上昇が認められた.感染に先立ち小胞体ストレス抑制剤(4-PBA)を投与すると,UPR関連遺伝子発現は抑制され,本マウスモデルで認められる歯槽骨吸収も抑制された.またこの時,歯肉組織における破骨細胞関連遺伝子発現は抑制されたが,炎症性サイトカイン発現に差は認められなかった. 小胞体ストレスの破骨細胞への影響をさらに明らかにするため,in vitroにて検討を加えた.その結果,マウス骨髄細胞由来マクロファージを用いたRANKL誘導性の破骨細胞形成が,4-PBAにより抑制されることが示された. 以上の結果より,小胞体ストレスは,破骨細胞形成に直接的に関与し歯槽骨吸収を誘導している可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
P.gingivalis口腔感染マウスモデルにおいて,小胞体ストレス抑制剤(4-PBA)を用いた検討により,歯周炎における小胞体ストレスの関与をより明確にすることができ,本年度予定していた実施計画を概ね達成できた.加えて本年度は,次年度に計画していた破骨細胞分化における小胞体ストレスの関与について,in vitroの検討にも着手できた.学会発表・論文発表も行うことができ上記評価とした.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,当初の実施計画に従って,小胞体ストレスがP.gingivalisに関連した炎症性応答に及ぼす影響に焦点をしぼり検討していく予定である.具体的には,マクロファージ様細胞株RAW264.7にP.gingivalisを用いて刺激し,活性化する小胞体ストレスセンサー,UPRシグナル経路を検索していく.そして,4-PBAあるいはUPRシグナル分子阻害剤をさらに添加した時に変動する炎症性サイトカイン,炎症関連シグナルを検索していく.
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