2014 Fiscal Year Research-status Report
歯周基本治療による歯周組織の改善と血中レプチン,脳賦活化の関連について
Project/Area Number |
26463140
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
村岡 宏祐 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (80382422)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
園木 一男 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (50316155)
吉野 賢一 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (90201029)
小田 昌史 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (10638117)
田中 達朗 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (50326469)
守下 昌輝 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (60710522)
中村 太志 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (20549886)
森本 泰宏 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (00275447)
中島 啓介 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (80227785)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 歯周基本治療 / fMRI / 血中レプチン / 脳 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,慢性歯周炎に罹患した患者において,歯周基本治療を行い,歯周組織の改善が血中レプチン濃度の変化とともに脳の活性に影響するかを検討することである。 方法は,慢性歯周炎の患者に本研究の同意取得後,初診時に,歯周組織検査(PPD,PAL,BOP,排膿,動揺度),口腔内写真撮影を行う。また,当院口腔保健学科にて血中レプチン濃度測定および患者の全身状態評価のための血液検査{血計(WBC, RBC, Hb, Ht, Platelet),血液生化学(総蛋白,アルブミン,総ビリルビン,GOT,GPT,γGTP,BUN,クレアチニン,総コレステロール,HDLコレステロール,中性脂肪,血糖,インスリン,HbA1c,高感度CRP),血清(エンドトキシン)}を空腹時採血で行い,当院放射線科で認知課題(言語課題,計算課題)によるfMRIを行った。その後,TBI,SRPを中心とした歯周基本治療を約3か月間行った。SRP後終了後1か月後に初診時と同じパラメーターの測定を行った。 歯周基本治療によって血中濃度が変化するかを3人のデーターで検討した結果,血中レプチン濃度は,初診時の11.2±12.13ng/mlから13.5±14.61ng/mlに増加した。また,歯周基本治療を行い,fMRIを用いて高次脳機能への影響を4名の解析を行った。その結果,高次脳機能を司る脳領域での賦活を認めた。特に言語課題遂行時に前頭連合野のより大きな賦活を認めた。 歯周疾患は,記憶,計算作業において重要な役割を担っている前頭連合野の働きを阻害する可能性が示唆された。歯周疾患は前頭連合野に悪影響を与え,歯周基本治療を行うことによりその影響を取り除くことができると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歯周基本治療を行い,血中レプチン濃度が,初診時11.2±12.13ng/mlから13.5±14.61ng/mlに増加した。また,歯周基本治療を行い,fMRIを用いて高次脳機能への影響を行った。その結果,高次脳機能の賦活を認めた。特に言語課題での前頭連合野のより大きな賦活を認めた。 血中レプチン,fMRIの両方測定した患者は1名である。その結果,歯周基本治療を行うと歯周組織の改善を認めた。血中レプチン濃度は,初診時 3.1ng/mlから5.3 ng/mlに増加した。またfMRIを用いて高次脳機能への影響では,歯周基本治療を行うと計算課題では,後頭葉の脳細胞に血流増加の広範囲な増加を認めた。言語課題では,前頭連合野の部分的な血流の増加を認めた。 歯周基本治療は長期にかかるため,本研究が終了した患者は一人ではあるが,現在進行中の患者は5名いるため研究は順当に推移していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題において順調に行われているため何ら問題はない。本研究の継続により,歯周基本治療を行うことにより歯周疾患による前頭連合野への悪影響を取り除くことを明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
MRI用フィルム,血中レプチン濃度の測定用kit,患者の全身状態評価のための血液検査料が今年度は少なかった。歯周基本治療は長期におよぶため今年度では,外注検査会社に依頼することが少なかったものと考える。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は,歯周基本治療が終了することが考えられ,MRI用フィルム,血中レプチン濃度の測定用kit,患者の全身状態評価のための血液検査の回数が増加すると考える。
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