2015 Fiscal Year Research-status Report
Gingipain活性阻害剤の歯周病治療および歯周医学関連疾患治療への応用
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26463142
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
古市 保志 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (80305143)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 幸紀 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (50281283)
中塚 侑子 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (60713568)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 歯周炎 / 関節リウマチ / マウスモデル / ナタ豆 / サイトカイン / CRP |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、①ナタ豆エキス(SBE)が炎症性サイトカイン産生に与える効果について LPS刺激時にTHP-1細胞から産生されるTNF-αとIL-1βの産生をELISAを用いて評価した。次に、②マウス実験的歯周炎に及ぼす効果を Balb/c系雌性マウス10週齢の左右上顎第二臼歯に5-0絹糸を結紮し、実験的歯周炎モデルを作製した。そして、5週齢時からSBEを経口投与し、マウス実験的歯周炎に及ぼす効果を歯槽骨吸収量を測定することによって評価した。また血清中CRP濃度を比較した。さらに、③歯周炎とRAの関連性 を SKG系雌性マウス6週齢時にマンナンを腹腔内投与して関節炎を誘導し、10週齢時に5-0絹糸を結紮し歯槽骨吸収を誘導した。その後、関節炎の程度と歯槽骨吸収量を測定することによって歯周炎とRAの関連性を検討した。 その結果、①250μg/ml、500 μg/mlのSBEを作用させた場合、LPS刺激THP-1細胞から産生されるTNF-αと、IL-1βを抑制することが明らかになった。また、②歯槽骨吸収量を比較した結果、SBE投与群とSBE非投与群との間に有意な差は認められなかった。しかしながら、血清中CRP濃度は、歯周炎群と比較して歯周炎+2000μg/ml SBE群で有意に低下していた。さらに、③歯周炎+RA群の関節炎の程度は、RA群と比較して有意な差は認められなかったが、腫脹及び発赤が増加する傾向を示した。また、歯周炎+RA群では、歯周炎群と比較して歯槽骨吸収量が有意に増大していた。 今回の実験において、歯周組織で生じている炎症反応がSBEの抗炎症作用を上回っていたことによって骨吸収が生じたと考えられる。しかし、歯周炎+2000μg/ml SBE群のCRP濃度は歯周炎群と比較して有意に低くなっていたことから、SBEを飲用させることによって炎症を抑制する可能性が示唆された。また、RAと歯周炎の関連性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歯周炎およびリウマチに関しては、マウスを用いた動物実験モデルが完成し、そのモデルによって両者は互いに他を進行させる正の相関があることを明らかにしている。また、歯周炎モデルを用いた研究によって、ナタ豆エキスの飲用によって歯槽骨吸収に有意な抑制は認められなかったものの、血清中CRP濃度上昇を抑制していた。以上から、ナタ豆エキスが歯周炎と関節リウマチの進行抑制に有用である可能性を示す結果が蓄積しつつある。平成28年度は継続して動物実験を行い、その可能性をさらに検索する予定である。動脈硬化症とそれに伴う虚血性疾患については、動物実験モデルの作成に着手できてはいないものの、関節リウマチモデルよりも作成が容易であり、動脈硬化症モデルへのナタ豆エキスの応用は、これまでに得られた歯周炎と関節リウマチに関する知見をもとに実験を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
ナタ豆エキスの歯周炎と関節リウマチの進行抑制への応用については、更なる研究を継続しその可能性をさらに検索する予定である。動脈硬化症とそれに伴う虚血性疾患については、動物モデルを完成させ、ナタ豆エキスの応用を目指した実験を行うことを計画している。 研究課題の最終年度であることから、これまでに得られた知見をもとに、当初の目的であるSBEの歯周病治療および歯周医学関連疾患治療への応用の可能性に向けて、実験を継続し、結論を導いてゆく予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度は、in vitroの研究を主に行った。平成27度は、歯周炎および関節リウマチについてマウスによる動物実験モデルを完成させた。平成28年度は、それらのモデルを用いてSBEの歯周炎および関節リウマチ治療への応用の可能性を継続して検索する予定である。また、動脈硬化症とそれに伴う虚血性疾患については、平成28年度の早い段階で動物実験モデルを完成させ、SBEのその治療への応用を図る予定である。このように、当初の計画であった動物実験の一部の実施を27年度から28年度にスライドさせ、平成28年度に多くの動物実験実施を予定していることが次年度使用額が生じた理由となっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
歯周炎、関節リウマチ、動脈硬化症、およびそれらを併発した動物実験モデルを用いてSBEのそれぞれの発症と進行に対する抑制効果を検索する。
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Research Products
(3 results)