2016 Fiscal Year Research-status Report
歯周炎で誘導されるインフラマソーム活性化が動脈硬化に及ぼす影響とその制御
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26463145
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
落合 智子 (栗田智子) 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (20130594)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 歯周炎 / 動脈硬化 / プロバイオティクス / 乳酸菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、乳酸菌の経口投与における歯周病並びに歯周病誘発動脈硬化の改善について検討した。 ①乳酸菌の認定株(7種)及び口腔分離株(4種)を用いて、 Porphyromonas gingivalis381及び33277株に対する抗菌活性を計測した。認定株では、Lactobacillus casei JCM1134とL. salivarius IT2711が40%の阻害活性を示した。口腔分離株においては、L. fermentum Kl-5が35-40%, L. gasseri 03-2が44-46%の阻害活性を示した。 ②上記の乳酸菌を用いて、活性酸素消去能及び脂質過酸化能を測定した。L. salivarius IT2711以外の菌株はいずれも高い活性酸素消去能及び低い脂質過酸化能を示したが、特にL. paracasei JCM1133で顕著であった。以上の結果から、マウス実験の乳酸菌候補として、抗菌活性が最も高かったL. gasseri 03-2及び高い活性酸素消去能及び低い脂質過酸化能を示したL. paracasei JCM1133を選択した。 ③乳酸菌を5週間にわたりApoeshl欠損高脂血症マウスに経口投与後、P. gingivalis381株を経口感染し、歯槽骨吸収量を計測した。更に、心臓の凍結切片を用いてOil-red O染色を行った。L. gasseri 03-2及びL. paracasei JCM1133投与群は、いずれもP. gingivalis感染による骨吸収を有意に抑制した。一方、動脈効果発症に対する影響はL. gasseri 03-2だけがP. gingivalis感染によるプラークの蓄積を有意に阻害した。更に、歯肉や大動脈組織のおけるIL-18発現の顕著な減少が認められた。これらの結果から、L. gasseri 03-2の経口投与は歯周病並びに歯周病から派生する動脈効果の予防に有用である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の実験に際し、乳酸菌の候補として高い抗菌活性を持つ菌株(L. gasseri 03-2)と高い活性酸素消去能及び低い脂質過酸化能を有する菌株(L. paracasei JCM1133)を選択したところ、 L. gasseri 03-2は歯槽骨吸収と大動脈のプラーク形成をいずれも抑制したが、L. paracasei JCM1133は歯槽骨吸収のみを抑制した。更に、L. gasseri 03-2投与群は歯肉や大道脈組織の炎症性サイトカイン発現を有意に抑制した。これらの結果は、抗菌活性の高い乳酸菌がP. gingivalis感染で生じた腸内細菌の負のバランスを正のバランスに戻している可能性を示唆する。その結果、P. gingivalis感染で生じた炎症を有意に抑制したと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
抗菌活性の高い乳酸菌L. gasseri 03-2の事前投与により、P. gingivalis感染による歯槽骨吸収並びに大動脈のプラーク形成が有意に抑制された。今後、同乳酸菌を用いて再度マウス感染実験を行い、歯肉の炎症状態をHE染色にて病理学的に解析する。また、マウス歯肉組織や腸管関連リンパ組織における樹状細胞やリンパ球の継時的変化を解析することにより、免疫担当細胞の推移を明らかにする。またTh1, Th2, Th17, Treg細胞の発現頻度の継時的変動を計測する。更に、酸化LDLやLOX-1の定量、NADPHの発現解析等により酸化ストレスの影響も合わせて検討する。 腸内細菌叢や腸内有機酸の推移をメタゲノム解析やHPLC解析により検討する。これらの結果から、乳酸菌の事前経口投与における歯周病並びに歯周病誘発動脈硬化の改善について総合評価を行う。
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Causes of Carryover |
Apoeshlマウス供給元の感染事故により供給が長期に渡りストップしてしまった為、実験計画が大幅に遅れている。供給再開後も、マウスの供給匹数が制限されている為、十分な実験が出来ていない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は歯槽骨吸収と大動脈のプラーク形成の有意な抑制が認められた乳酸菌L. gasseri 03-2を用いて、マウス感染実験を行い、歯肉の炎症状態をHE染色にて病理学的に解析する。また、マウス歯肉組織や腸管関連リンパ組織における樹状細胞やCD4+/CD8+T細胞、B220+B細胞の継時的変化を解析することにより、免疫担当細胞の推移を明らかにする。また転写因子発現や細胞内サイトカイン染色法を用いてサイトカイン発現を解析することによりTh1, Th2, Th17, Treg細胞の発現頻度の継時的変動を計測する。更に、酸化LDLやLOX-1の定量、NADPHの発現解析等により酸化ストレスの影響も合わせて検討する。 腸内細菌叢や腸内有機酸の推移をメタゲノム解析やHPLC解析により検討する。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Localization and expression pattern of amelotin odontogenic ameloblast-associated protein and follicular dendritic cell-secreted protein in the junctional epithelium of inflamed gingiva.2016
Author(s)
Nakayama Y, Kobayashi R, Matsui S, Matsumura H, Iwai Y, Noda K, Yamazaki M, Kurita-Ochiai T, Yoshimura A, Shinomura T, Ganss B, Ogata Y.
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Journal Title
Odontology
Volume: Nov 2.
Pages: -
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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