2015 Fiscal Year Annual Research Report
70~80歳における口腔健康状態の維持は、その後の「健康長寿」に寄与するか?
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26463158
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
廣冨 敏伸 新潟大学, 医歯学系, 助教 (00345513)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歯の喪失 / 高齢者 / 生活能力 / コホート |
Outline of Annual Research Achievements |
(目的)新潟市在住の高齢者を対象に、高齢期における歯数維持が死亡リスクに及ぼす影響について明らかにする。 (方法)以前の調査で対象とした新潟市在住の87歳高齢者のうち、252名について生存・死亡の別について調査した。70歳および80歳時の歯数データと連結し、死亡リスクに及ぼす歯数の影響について分析した。しかし死亡者数が9名と少なかったため、明らかな傾向は見いだせなかった。そこで生存者243名を対象に、生活能力と歯数との関連について検討した。生活能力の評価には老研式活動能力指標(TMIG)を用いた。13の質問項目について実行可能な場合を1点、不可能な場合を0点として合計点を算出した(13点満点で、高得点の方が生活能力は高いと判定)。ただし、TMIG13項目の全てについて回答の得られなかった27名は分析から除外し、19名に認められた45ヶ所の未回答(空値)は0点として処理した。 (結果)TMIGの平均点数は9.84点であった。これを70歳時の歯数による4群で比較すると、0本群で9.47点、1-9本群で9.15点、10-19本群で10.03点、20-32本群で9.89点であった。同様に80歳時の歯数で比較すると、9.81点、9.44点、10.29点、10.93点であった。しかし、70~80歳の10年間における喪失歯数との関連は認められなかった。 (考察および今後の課題)今回の結果から、高齢期に多数の歯数を維持できれば高い生活能力をも維持できる可能性が示唆された。さらに、高齢者の生活能力にとって重要なのはある期間に歯を何本喪失したかではなく、ある一定の歯数(例えば10本以上)を維持することと推察された。
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