2014 Fiscal Year Research-status Report
唾液を用いた歯周組織の炎症状態の客観的診断法の開発
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26463164
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
福井 誠 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (50325289)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 唾液 / 歯肉炎 / 生理活性物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、ヒトの唾液あるいは歯肉溝浸出液中の生理活性物質を測定するにあたり、適切な採取条件を確立するための基礎的な調査を行った。歯肉の炎症に関連する物質として唾液中の出血マーカー(遊離ヘモグロビン)と歯周組織破壊マーカー(乳酸脱水素酵素)、あるいは歯肉溝浸出液中の出血マーカー(α1-アンチトリプシン)と炎症マーカー(ラクトフェリン)を対象に、採取するにあたり、注意すべき条件(直前の飲食やブラッシングの影響、うがい後の経過時間による影響など)を調査した。その結果、出血マーカーにおいてはサンプル採取当日のブラッシングの影響を大きく受けるが、組織破壊マーカーはその限りではないことが示された。また、サンプル採取前のうがいについて、サンプル採取一時間以内のうがいは唾液中の生理活性物質濃度を大きく下げる可能性が示された。ヒトのサンプルを扱う際に注意すべき点が示され、これらの測定結果に影響を与える検査対象者の行動を確認する必要があることも示された。この調査結果から、唾液検査による歯肉炎症を調査を行う際の注意すべき点が明らかになり、適切な採取条件を採取条件を確立することができた。次年度以降はこの結果を基に、歯周臨床データと唾液中生理活性物質との関連性の分析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度に予定をしていた動物実験は、実験を遂行するための準備が遅れてしまったことより、次年度に実施することになった。そのため、平成26年度の達成度はやや遅れているとしているが、平成27年度には速やかに遂行する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度には動物実験による歯肉炎と唾液中サイトカイン濃度の関連性の調査を行う。実験動物で歯肉炎モデルを確立し,健常歯肉から歯肉炎への進展過程における唾液中サイトカイン濃度範囲と変化を調査し,今後のヒトを対象とした調査のための基盤データを得る。 ラットは健康なルイス系ラットを使用し,粉末飼料で飼育する。ラット飼育開始よりEscherichia coli由来のリポポリサッカライドを歯肉溝に塗布して実験的に歯肉の炎症を惹起させるラット歯肉炎モデルを確立させる。また、腸炎誘発動物モデルに使用されるデキストラン硫酸ナトリウムを使用した新規動物歯肉炎モデルを確立する。屠殺後に歯肉の病理組織切片を作成し,歯肉の炎症状態の進展状況を確認する。 ラット歯肉モデルを確立し,病理組織切片による歯肉組織変化と唾液中サイトカイン濃度変化を分析し,歯肉の炎症の発症・進展に特徴的な唾液中サイトカインの濃度範囲を明らかにする。 また、平行して少人数による人を対象とした歯周臨床データと唾液中生理活性物質との関連性の分析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度に予定していた動物実験が平成27年度に実施することになったため,動物購入費用,飼育餌費用,ラットサイトカイン測定費用などが次年度に繰り越しになったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度にはラットを用いた歯肉炎モデルの確立と、Bio-Plexサスペンションアレイシステムを用いた唾液サイトカイン測定を行うため,研究費は次年度への繰越額も含め てこれに必要となる試薬類の購入や実験遂行に必要となる各種のプラスティック器具類などの消耗品の購入に充てる予定である。 また,研究成果の発表や情報収集のため,学会参加を予定しており,このための旅費に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)