2014 Fiscal Year Research-status Report
歯科医療機関におけるインシデントレポート分析による医療事故リスク因子の検討
Project/Area Number |
26463178
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
玉置 洋 国立保健医療科学院, その他部局等, 研究員 (50386827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 慶太 鶴見大学, その他部局等, 教授 (00280975)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 医療事故 / 歯科 / インシデントレポート / スイスチーズモデル / 多変量分析 / ベイジアンネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では歯学部病院に研修が義務づけられた平成14年と10年後の平成24年について、インシデントレポートを比較分析し、この10年間で歯科事故の特徴と原因がどのように変化してきたかを明らかにする。その結果から、今後の医療安全研修のあり方について検討し、最終的には国民の安心・安全な歯科医療の向上に利することを目的とする。 インシデントや事故の種類や原因を分析するためには、単に記述統計的に事象を羅列するだけでは不十分と言える。医療事故はReasonのスイスチーズモデルで示されるように、いくつかの要因が重なったときに起こるといわれる。これは複数の要因が同時に発生したときに生じる条件付確立モデルのひとつとして捉えることができる。そこでインシデントレポートから医療事故の発生率を求めるベイジアンネットワークを用いたモデルを作成し、どのような条件が重なったときに医療事故が発生する確率が高くなるかを分析し検討する。平成26年度はまず関東圏の私立大学歯学部付属病院の10年分のインシデントレポートについて、平成14年度と平成24年度のインシデトレポートから個人情報を抜いた形で、以下の項目を抽出し電子化したカテゴリーデータとした。 ①医療従事者の職種(歯科医、歯科衛生士、看護師、栄養士、事務等)②医療従事者の職名(学生、研修医、大学院生、専攻生、助教、講師、准教授、教授等)③医療従事者の年齢④医療従事者の性別⑤医療従事者の所属科⑥治療内容⑦事故の発生時間⑧事故の発生曜日⑨事故の発生場所⑩患者の年齢⑪インシデントレポートの提出時間⑫事故のレベル分類(国立大学附属病院医療安全協議会が定めた影響度分類)⑬事故の原因分類(手技によるもの、指示等の連携によるもの、合併症によるもの、機器の不具合によるもの、診断によるもの、検査によるもの)⑭事故の詳細(自由記述)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度はまず関東圏の私立大学歯学部付属病院のインシデントレポートについて、平成14年度及び平成24年度のインシデトレポートについて個人情報を抜いた形で、電子化したカテゴリーデータとすることを予定としていた。本年度、実際に私立大学歯学部の倫理委員会での審査を経た上で書類データから電子化データへと変換するところまで作業が進んでいるため、予定通り順調に研究が進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度度は平成26年度に電子化したデータからまずクロス集計を行い、この10年間で事故の特徴がどのように変化をしたか記述統計的な特徴を把握する。その後、事故の発生を従属変数、その他の因子を独立変数とした多変量のロジスティツク回帰分析を行い、どのような要因がリスクになっているかを求める。これらの結果からリスクとなっている複数の要因を求め、条件付確立モデルを作成する。その際は過去に作成したモデルを参考に、より詳細な要因を条件に加えてモデルを作成する。作成したモデルから平成14年度と平成24年度で事故の原因がどのように変化しかを比較検討する。仮に収集したデータで詳細な要因を用いたモデルがうまく作成できない場合は、過去に作成した基本的なモデルを用いる。
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Causes of Carryover |
本年度の研究の進捗はデータのデジタル化までとなり、学会発表までは至らなかったため学会に参加するための旅費は持ち越した。また研究の進捗状況に併せて一部の物品費を次年度に持ち越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
旅費は学会参加のために使用する。また物品費は次年度に必要な消耗品費として使用する。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Correlation of Dental Health Behavior With Health Awareness and Subjective Symptoms in a Rural Population in Japan.2014
Author(s)
Song W, Tamaki Y, Arakawa Y, Ogino D, Aoki K, Ohyama M, He D, Osawa T, Ohsawa K, Kadoma Y, Nomura Y, Arakawa H
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Journal Title
Asia Pac J Public Health.
Volume: 26(3)
Pages: 275-284
DOI
Peer Reviewed / Open Access