2014 Fiscal Year Research-status Report
患者の地域・コミュニティー(異文化)的背景に基づく医療コミュニケーション教育
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26463186
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小川 哲次 広島大学, 大学病院, 教授 (50112206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 登志子 岡山大学, 医療教育統合開発センター, 助教 (10304320)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 医療面接 / 異文化コミュニケーション / 地域文化 / 地域歯科医療 / ナラティブ / 模擬患者シミュレーション / シナリオ / 遠隔地教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.地域文化(異文化)的背景と患者. 家族のコミュニケションについての調査と分析 広島県内で往診歯科診療や口腔ケアでの豊富な体験を有する歯科医師, 歯科衛生士を対象に、半構造化インタビューを実施し、そのデータから地域文化(異文化)的背景と患者. 家族のコミュニケションの特徴やスタイルについて分析中である。 2.ナラティブなSPシナリオの作成と語りの演技のできるSPの養成並びに授業への応用実施 中国地区で活動するSPを対象に、H26年度中四国模擬患者スキルアップセミナー (平成26年11月22日、地域医療人育成センターおかやまMUSCATホール、岡山市)、並びにひろしま模擬患者セミナー・交流会2015(平成27年2月21日、広島大学霞病院 臨床管理会議室、広島市)をそれぞれ開催し、ナラティブなSPシナリオの作成と語りの演技のスキルアップに取り組んだ。 作成したシナリオを用いてのSPシミュレーション教育を本学歯学科授業(4年・5年)並びに研修歯科医の医療面接トレーニングで実施し, その教育効果や症例シナリオとSPの語りの演技による医療コミュニケーションの教育効果についての検証を行っているところである。また、一部の英訳したシナリオを用い、インドネシア、ベトナムからの留学生へのSPシミュレーションを実施したが、我が国と留学生母国との医療制度や経済・文化・地域的背景が異なるため、我が国における患者のナラティブなシナリオを翻訳して用いるほかに、留学生それぞれの母国の背景を加味したナラティブなシナリオの作成が必要であることがわかった。そのため、それぞれの母国の大学教員にシナリオの作成を依頼しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1.地域文化(異文化)的背景と患者. 家族のコミュニケションについての調査と分析 平成26年度計画時よりもインタビューが順調に実施できており、その言語データの解析もすすんでいる。 2.ナラティブなSPシナリオの作成と語りの演技のできるSPの養成並びに授業への応用実施 中国地区のSPの協力と支援により、SPを対象にしたナラティブなSPシナリオの作成と語りの演技のできるSPの養成が順調に行われている。これらの結果を卒前の授業や卒直後のSPシミュレーション教育に応用し、教育効果の高いことがわかってきた。また、東南アジアからの留学生の振り返り記録のから、留学生母国の背景にあったシナリオとSPの演技が必要であるなど、新たな課題がわかってきた。この結果はITを活用したグルーバルな遠隔SPシミュレーションシステムの構築にとって有用であり、平成27年度・28年度の研究推進に有用であった。
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Strategy for Future Research Activity |
1.地域文化(異文化)的背景と患者. 家族のコミュニケションについての調査と分析 平成26年度に引き続き、広島県内で往診歯科診療や口腔ケアでの豊富な体験を有する歯科医師, 歯科衛生士を対象に, 歯科医療者が初めて交流する地域文化(異文化)的背景と患者. 家族のコミュニケションの特徴やスタイルについての半構造化インタビューを行い、その聴取内容を言語化し、分析を行う。 2.ナラティブなSPシナリオの作成と語りのできるSPの養成並びに授業とトレーニングへの応用実施 平成26年度に引き続き、連携口腔ケアや摂食嚥下指導. 栄養サポートの必要な患者やその家族の地域文化(異文化)的背景(意味), 時間軸,社会性とのかかわりなどのナラティブ的側面から書き起こし, 患者. 家族それぞれの生活や人生を物語る記述とする。邦人SPにおいては, 社会言語学専門の研究協力者の指導を得て, 地域(文化)背景に見合う使用言語を検討し, 方言, 地域語などの慣用言語やフレーズの構成を吟味する。また, 英語の語りを担当する邦人のSP候補者には, 日英両語で記載したシナリオと参考資料を準備するが, その英語表現については, 研究分担者とネイティブスピーカーの助言を得て行う。これらのシナリオと語りのできるSPを活用し、歯学部地域歯科医療学の授業(歯学科4年. 5年生)並びに研修歯科医のSPトレーニングで実施し, その症例シナリオとSPの語りの演技による教育効果について、会話記録や学習者の振り返り記録を用いて分析する。 遠隔テレビ対面式シミュレーションシステムの構築については、完成したナラティブなSPシナリオと語りの演技のできるSPの協力を得て, 遠隔地でのテレビ対面式SPシミュレーションを開発し, 遠隔地における教育システムの構築について検討する。
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Causes of Carryover |
インタビューやSPシミュレーションの言語化作業を委託しているが、録音・録画時間が長時間であったことや音声言語が、難解な方言や地方語そして英語などであったため、専門家の助言をもらいながら、慎重に言語化作業を平成26年度から27年度にまたがってすすめる予定としたことなどにより、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額を、前述した難解な方言や地方語そして英語の言語化作業を行うための専門家からの助言や言語化作業などにあてる予定である。
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