2015 Fiscal Year Research-status Report
徒手マッサージにおける口腔機能の賦活とリラクゼーション効果に関する実証的研究
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26463189
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Research Institution | Chiba Prefectural University of Health Sciences |
Principal Investigator |
麻賀 多美代 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 講師 (30165691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大川 由一 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 教授 (20211097)
吉田 直美 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 教授 (50282760)
麻生 智子 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 講師 (80248848)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マッサージ / リラクゼーション / POMS / 皮膚温度 / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、歯科衛生士が行う口腔周囲への徒手マッサージにおける生理的反応、口腔機能の賦活とリラクゼーション効果を実証することを目的とする。 当該年度は、高齢者対象の健康教室に参加している平均年齢74.3歳の女性9名、男性6名を対象として調査を実施した。15名の対象者に対して歯肉、頬粘膜、口唇、舌、顔面や頸部に対してマッサージを実施し、マッサージ前後には、血圧、脈拍、心拍数、R-R間隔(心拍変動)、頬部の皮膚温度と頬粘膜温度、血流量、唾液アミラーゼ活性値、POMS、日本語版UWIST気分チェックリスト、開口量、口腔水分量、最大口唇圧、最大舌圧、オーラルディアドコキネシスを測定して、マッサージの即時効果について検討した。その結果、マッサージ後に脈拍は有意に減少し、顔面頬部の皮膚温度は有意に上昇した。口腔機能への影響としては、開口量、口腔水分量の有意な増加と最大舌圧の有意な増加がみられた。また、リラクゼーション効果を評価するPOMSでは、緊張‐不安、抑うつ‐落ち込みの感情が有意に低下し、混乱が低下傾向を示した。気分や感情を表す日本語版UWIST気分チェックリストにおいても、緊張覚醒(TA)は有意に低下し、エネルギー覚醒(EA)は有意に上昇したことから、口腔周囲へのマッサージはリラクゼーション効果を与えることが示唆された。 昨年の成人女性を対象とした研究の生理的反応としては、収縮期血圧、脈拍、心拍数がマッサージにより有意に減少した。しかし、本調査の対象である高齢者は、調査前の健康状態の聞き取りから降圧剤や抗凝固薬などの服薬がみられ、血圧や心拍数などの測定において測定結果にばらつきがみられた。高齢者が対象者の場合は、個々の全身状態が調査の結果に影響することが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度の研究計画に沿って、歯肉や頬粘膜、口唇、舌などの口腔内と顔面や頭頸部を含む口腔周辺へのマッサージによる生理的反応、口腔機能への影響とリラクゼーション効果について、高齢者を対象として調査を行うことができた。 平成26年度、当該年度の研究結果から、口腔周囲への徒手によるマッサージは生理的変化をもたらし、リラクゼーション効果があることは示されているが、口腔機能への影響について研究を深めることが難しかった。 研究成果については学会発表する予定であったが、該当する学会が当該年度前半であったため、学会での発表を遂行することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は高齢者を対象に調査を行い、高齢者の疾患や服薬が調査結果に影響することが考えられた。当該年度は対象者を要介護高齢者者とすることから、前年度の調査内容や結果を踏まえて、デモグラフィック変数を追加項目とする。また、前年度は即時効果を検討してきたが、当該年度は対象者に対して継続してマッサージを実施し、口腔機能への影響や生理的反応、リラクゼーション効果を検討したいと考える。
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Causes of Carryover |
当該年度に口腔機能を評価する機器の購入を検討したが、予算の関係で未購入の状態である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該年度に購入予定であった口腔機能を評価する機器に代わり、28年度の研究対象が要介護高齢者であり、マッサージ効果について主観的評価法を用いることが不可能であることが推測されるため、指尖プローブの装着によりマッサージ効果、生理的反応が評価できる指尖脈波装置を購入する予定である。
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