2016 Fiscal Year Research-status Report
徒手マッサージにおける口腔機能の賦活とリラクゼーション効果に関する実証的研究
Project/Area Number |
26463189
|
Research Institution | Chiba Prefectural University of Health Sciences |
Principal Investigator |
麻賀 多美代 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 講師 (30165691)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大川 由一 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 教授 (20211097)
吉田 直美 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 教授 (50282760)
麻生 智子 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 講師 (80248848)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 徒手マッサージ / 歯肉 / POMS / 血中酸素量 / リラクゼーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、歯科衛生士が行う口腔周囲への徒手マッサージにおける生理的反応、口腔機能の賦活とリラクゼーション効果を実証することを目的とする。 近年では、歯肉を優しくたたくように心地よい刺激を与える歯肉マッサージ機能がついた音波ブラシが販売させている。これまでの研究により、徒手による歯肉や口腔周囲へのマッサージ前後の生理的変化から、徒手によるマッサージはリラクゼーション効果があることを報告している。 当該年度は、成人女性を対象に徒手による歯肉マッサージと歯肉マッサージ機能をもつ音波ブラシを用いて、マッサージ前後の生理的反応として血圧、脈拍、上下前歯部歯肉の血流量、前頭前野の脳血流量(血中酸素量)の測定と、POMSの回答からリラクゼーション効果について検討した。また、徒手マッサージと音波ブラシによるマッサージ終了時に、マッサージの気持ちよさ、音波ブラシの振動について、リラックス感について、歯肉の血流促進についてVASを用いた質問紙調査を実施した。 マッサージ後には徒手、音波ブラシ共に血圧、脈拍は低下し、上下顎歯肉の血流量においてはマッサージにより血流量の増加がみられた。前頭葉の血流量については、ダイナセンス製(株)の携帯型近赤外線組織酸素モニタ装置(Pocket)を用い、酸化ヘモグロビン(oxy-Hb)を算出した。酸化ヘモグロビンは脳活動をよく反映し、fMRIにおける脳活動データとの相関が高いとされている。血中酸素量については、音波ブラシによるマッサージ後には、数値が増加し、徒手によるマッサージ後には数値は低下した。音波ブラシによる数値の増加は、音波ブラシの振動が前頭野領域を刺激し、脳活動が活発になったと考えられ、一方、徒手によるマッサージによる数値の低下は、鎮静効果があることが窺えた。質問紙調査では、徒手によるマッサージは心地よく、リラックスし、マッサージの血流促進は音波ブラシの方が大きいと回答した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の課題である徒手マッサージおける口腔機能の賦活とリラクゼーション効果に関する実証的研究で、マッサージおける即時効果については研究を遂行してきたが、マッサージを継続的に実施した場合の口腔機能変化や生理的変化の調査が遅れている。継続したマッサージの調査は、施設に入所する高齢者を対象として研究の依頼を考えていたが、本人またはキーパーソンとなる家族の同意が必要となるため、また、研究時期の調整が計画どおり進まなかった。合わせて、マッサージ実施者として協力をしていただく歯科衛生士の選出も容易ではなかった。今までの調査は研究者が在籍する施設において実施したが、施設での調査を行うことを考慮した携帯可能な口腔機能の測定機器、生理的変化を測定する機器が必要であり機器の選定にも時間を要した。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は、徒手によるマッサージに関して継続して調査を実施するため、高齢者施設、または中途障害者の入所施設に研究遂行依頼を行う。また、継続したマッサージの効果を検証するために、対象者に負担のないマッサージの時間とマッサージの技術、そして、口腔機能、生理的変化、リラクゼーション効果は侵襲のない方法で測定する。 医療や介護の現場において、タクティールやユニマチュードなど手で触れることの効果については多くの報告があり、口腔への徒手によるマッサージの効果としてリラクゼーション効果と合わせて、口腔機能の賦活効果が示されるように研究を遂行したいと考える。 本年度行った、脳血中酸素量の研究結果により、前頭前野を活性化することと鎮静効果を期待できることがみえてきたことから、対象者を高齢者や障害者として研究を進めたい。 研究成果については、日本歯科衛生学会第12回学術大会において演題が受理され発表を予定している。
|
Causes of Carryover |
当該年度に、施設に入所している高齢者を対象として徒手による口腔周囲のマッサージを2週間継続して実施することによる、生理的変化とリラクゼーション効果、口腔機能賦活の効果を調査する計画であった。しかし、研究を実施する予定であった施設と調整がつかず、計画通り研究を遂行することができなかった。そのため、次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
高齢者施設あるいは障害者の更生施設入所者に対して、徒手マッサージを10日間継続して行い、調査開始時、調査の中間日、調査最終日に生理的変化と口腔機能賦活に関する調査を実施する。そのために、口腔機能測定機器の購入、生理的変化を測定する機器の購入、消耗品の購入、調査協力をしてくれる歯科衛生士の謝金、調査協力していただく対象者への謝礼に使用する。また、脳内血流量を測定する機器のリース料に使用する。
|
Research Products
(1 results)