2015 Fiscal Year Research-status Report
超高齢者の口腔・身体機能が疾病予防および生命予後に与える影響
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26463194
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
飯沼 利光 日本大学, 歯学部, 講師 (10246902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小宮山 一雄 日本大学, 歯学部, 教授 (00120452)
佐藤 仁 日本大学, 歯学部, 助教 (70360170) [Withdrawn]
祇園白 信仁 日本大学, 歯学部, 教授 (90153262)
福井 雄介 日本大学, 歯学部, 専修医 (40732582)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 超高齢者 / コホート研究 / 健康長寿 / 口腔機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
お口の健康状態が超高齢者の健康状態およびその後の生存状況にいかなる影響を及ぼすかについて検討する目的で、85歳以上の東京在住の超高齢者542名を対象に疫学調査を2009年から行っている。さらに初期調査から3年経過後、および6年経過後について追跡調査を行い、3年後は約360名からデータを採得することができ、6年後についても約250名からのデータを得ることが出来た。3年後の解析結果の一部については、平成26年度に海外専門誌上にて報告を行っており、現在は最大かみしめ時の咬合力の大きさが、3年後の死亡率に及ぼす影響を検討し、その内容の一部を、海外専門誌に投稿中である。とくに平成27年度は、6年後調査の最終年度にあたるため、おもに調査対象者の居住する施設に赴いてのデータ採取に多くの時間を費やした。この原因として、調査対象者の平均年齢がすでに90歳を超えており、認知機能や日常生活度が低下した被験者が多く、一度に多くを調査対象とできる健診センターでの調査が困難となったためである。なお、追跡調査から得られたデータは現在詳細に解析を行っている。さらに、本年度は超高齢者を対象とした疫学研究では世界的に高い評価を得ている、英国Newcastle大学との共同研究を行うため、研究代表者である飯沼利光が平成27年5月より10月まで現地に赴き共同研究実現に向け共同作業を行った。その結果、英国および日本合わせて1700人規模の大きな超高齢者コホートの作成が行え、国際的な視点での身体、精神さらには社会要因が健康寿命の延伸に及ぼす影響について検討を行った。この結果についても最終年度である平成28年度に逐次学会および誌上にて報告を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、調査対象者が85歳以上であるため、初期調査から6年経過時での追跡調査ではすべての対象者が90歳以上となった。そのため、初期調査で行ったような健診センターでの集団調査が不可能となり、歯科医師と医師とがチームを作り、自宅や施設で訪問調査を行った。その結果、1件の事故も起こすことなく、初期調査と同一な内容での6年後調査を終了することが出来た。調査結果から、100名以上の対象者がすでに死亡しており、その状況や健康状態が低下した際の情報を詳細に得ることができているので、詳細な分析により口腔機能とこれら身体機能や認知機能などの精神機能、さらには死亡原因との関連性について解析をする。これらの内容については、当初の計画通りに進捗をしている。また、当初に立てた計画のように、平成27年度に世界最先端の海外研究チームとの共同研究が実現し、両国のデータをマージすることができた。このことにより、人種や習慣あるいは環境の違いが生命予後に与える影響の検討が出来ることは長寿研究において画期的なことである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は研究最終年度となるため、これまで得られた膨大なデータの解析および得られた成果の社会に向けての発信が活動の中心となる。超高齢者にとり健康維持に関わる情報は、彼らの置かれた状況を考慮すると、躊躇を許さないものであると考えている。そのため、効果的かつ迅速な発信が、国内のみならず全世界視野で行えるような方法を考えている。なお、初期調査から6年後の追跡調査は終了しているが、今後は電話、郵便等による生存確認等を行い、さらなる情報の獲得に努める予定である。
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Causes of Carryover |
6年後追跡調査に必要以上の時間を費やしたこと、ならびに海外研究機関との共同作業に当初の予定以上の時間が必要となったため、平成27年度内に予定していた、国内外での学会発表および海外雑誌での誌上発表、さらにはこれに付随する英語校正に関わる費用を使用しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在、平成27年度に予定していた国際学会での研究成果報告ならびに、海外専門雑誌への投稿準備をしており、これに平成28年度予定している学会および海外誌上報告を加えて行う予定である。
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