2014 Fiscal Year Research-status Report
褥瘡の治癒過程時期を看護師が正確に判断できる指標の同定と臨床的有用性の実証研究
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26463216
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Research Institution | Toyohashi Sozo University |
Principal Investigator |
松本 尚子 豊橋創造大学, 保健医療学部, 准教授 (40454376)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米田 雅彦 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (80201086)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 褥瘡 / 創傷治癒 / 判断指標 / 看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)各種抗FN抗体を用いた褥瘡創面とFN断片化の多様性に関する検討 研究の同意の得られた対象者から、分析対象としている褥瘡分類ステージⅢ~Ⅳに相当する褥瘡創面に使用されていたガーゼを回収した。回収したガーゼからタンパク質を抽出した後、遠心機にかけ上清液を回収し試料とした。市販の抗FN抗体を用いて検出した結果、C末端側に位置する抗体、N末端側に位置する抗体では検出に違いを認めた。FN分解状況を確認し、FNの分解された断片が、治癒過程に関与しているのか検討を行ったところ、治癒が遅い褥瘡創面においては、N末端側の抗体が検出される傾向にあった。研究協力者の皮膚科医の助言を得るとともに結果の妥当性を確認した。 (2)褥瘡創面とMMP活性及び抗原値との関連性に関する検討 (1)で回収した試料をもとに、MMP3抗原について酵素免疫測定法を、MMP3活性についてはザイモグラフィーを用いてそれぞれを解析した。結果、酵素免疫測定法を用いてMMP3が検出されたが、ザイモグラフィーの分析からはほとんどMMP3の検出はされなかった。つまり、MMP3の活性は認められなかった。また、MMP3の検出結果と褥瘡の治癒過程との関連について検討を行ったが、関連性はなかった。他のMMPsの影響を受けていないか確認する目的でMMP2をザイモグラフィーを用いて確認したところいくつかの試料からMMP2が検出され、褥瘡の治癒過程と関連がある可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の計画予定としてFNの抗体作成を上げている。分析結果をもとにFNのペプチド構造を同定し抗FN抗体の作成を業者へ依頼し、現在はその抗FNの抗体が使用可能か検討している段階である。よって、計画は概ね順調に進められていると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、抗FN抗体検出結果より、N末側、C末側の抗体に検出の違いを認めたことから、N末側、C末側で、褥瘡治癒過程と関連のあるペプチド構造の位置を同定し、ペプチド構造を作成する予定である。現在、一部のペプチド構造を同定し業者へ依頼し、抗体を作成している。作成した抗体が使用可能か検討を行っているが、同定したペプチド構造が使用可能であることが確認できたら、看護師が褥瘡創面の治癒過程を判断するための指標として活用が可能かさらに検討を行う予定である。MMP2については、褥瘡の治癒過程と関連があるかについて分析を進める予定である。
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Causes of Carryover |
分析結果より、FNのペプチド構造を同定し、抗体作成を業者依頼し、作成された抗体が使用可能か検討を行っている段階である。褥瘡治癒過程の指標に活用できるかどうか現段階では明らかになっていないため、次のことが予測される。1つ目は、抗体として使用可能であった場合、回収した抗体量が限られているため、再度抗体作成を行い分析に用いるための量を確保する必要がある。2つ目は、今回作成した抗体を活用することができなかった場合、再度、別の候補として上げているペプチド構造を同定し抗体の再作成を行う必要がある。さらに、MMP2と褥瘡との関連について分析を行っていく計画である。 以上より、今後、研究を遂行していくために次年度に使用する研究費用が必要である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
(1)褥瘡の治癒過程と関係のあるFNのペプチド構造を検討:FNの分解された断片から褥瘡の治癒過程と関係のある断片を明らかにしペプチド構造を同定する。(2)FNの抗体作成:(1)で得られたFNのペプチド構造をもとに、FNの抗原作成を業者へ依頼する。その後、業者より作成された抗原が発現可能か確認する。得られた抗原をもとにF Nの抗体作成を業者へ依頼する。業者より作成された抗体は、抗体精製キットを用いて精製した後、FNの検出に使用可能か確認を行う。(3)作成したFN抗体が、看護師が褥瘡治癒過程の判断材料として使用可能かを実証:作成したFN抗体を用いて検出する。FN抗体の検出結果から、創傷治癒過程の時期との関係について検討し、治癒過程の判断材料として使用可能か、研究分担者の米田氏、研究協力者の皮膚科専門医の助言を得るとともに結果の妥当性を得る。 4)MMP2と褥瘡治癒過程との関連について検討する。
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