2015 Fiscal Year Research-status Report
情報プライバシーに基づいて電子カルテ画面を一部非表示にする方法の検討
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26463224
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Research Institution | Seirei Christopher University |
Principal Investigator |
新實 夕香理 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 准教授 (20319156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 勝正 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60194156)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 電子カルテ / 表示方法 / 情報プライバシー / 情報共有 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、患者の情報プライバシーに対する意向を反映した電子カルテ画面を検討し、その方法(見せ方、保護の仕方)による医療の質や安全に与える影響を明らかにした上で、患者側の評価を踏まえて、医療従事者側の情報の必要性と患者のプライバシー保護が両立できる電子カルテ画面の表示方法を検討することを目的とするものである。 平成27年度は、1医療施設にある2診療科の外来で、インタビュー調査を実施した。対象は、入院経験のある外来通院中の患者40名について、患者情報の共有範囲に関する要望と電子カルテのモックアップ画面の表示方法に関して回答してもらった。患者の年齢は40~59歳が半数を占め、約2/3が3回以上の入院を経験し、直近の入院でほぼすべての患者が手術を受けていた。入院患者プライバシー測定尺度に示された項目を参考に、情報共有範囲を尋ねたところ、病院職員に知られたくない情報項目は、多い順に「学歴」が15名、「家族の病気」が13名、「家計上の問題」が12名であった。次に、患者が知られたくないと思う情報の一部にモザイクを掛けることによって情報を保護し、医療従事者が画面を開いた時にその情報が一時的に見えないようにした模擬画面を見せた上で意見をもらったところ、約半数の患者は本表示方法に賛成し、モザイクを使用した表示方法はプライバシーの保護に役立つと回答した。また、患者のすべてではないが、相手が誰であろうと知られたくない項目、相手に応じて隠したい項目を持っており、多くの患者が一時的な非表示を受け入れた。患者は、安全や業務に支障がなければ治療関連情報についても一時的であろうと電子カルテ画面の一部非表示によるプライバシーへの配慮を望んでおり、私たちが提案しているシステムの有効性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
インタビュー調査の協力に応じてくれた施設において、実際に外来での調査が実施できるようにするための院内手続き等に時間を要したため調査開始が遅れた。それに伴い、予定したインタビュー件数を得るのに予想外の時間を要した。現在、データの整理、解析を進めているところであり、若干の遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に行ったインタビュー調査の結果から、患者の情報プライバシーおよび情報共有範囲に対するニーズを明らかにした上で、一時的な非表示が可能とされる情報項目および適切な表示方法を検討する。その結果を反映させた紙ベースの電子カルテの模擬画面を作成し、それを見て理解してもらいながら回答のできる質問紙を開発し、医療従事者を対象にした調査を実施する。 また、平成28年6月にスイスで開催される13th International Congress in Nursing Informaticsに参加し、本研究課題の一部の成果を発表する。さらに看護情報学専門家らと意見交換をし、最新情報を収集し、今後の研究計画に役立てる予定である。
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Causes of Carryover |
インタビュー調査が完了するまでに時間を要し、次のステップの質問紙調査の依頼、実施が平成28年度にずれ込んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
質問紙調査に関する印刷費および郵送費、成果報告や最新の研究動向を把握するための国内外への学会参加費および旅費、研究会議のための旅費などの経費に充てる。
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