2015 Fiscal Year Research-status Report
基礎看護技術習得のためのシミュレーション教育プログラムの開発
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26463259
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
野崎 真奈美 東邦大学, 看護学部, 教授 (70276658)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | シミュレーション教育 / マネージメントシステム / フォーカスアセスメント / 教育プログラム / 教材開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の目的は教材開発を行うことである。教材は課題ワークシートと学生版電子カルテ内の事例をさし、模擬患者、シミュレータを併用して臨床状況を再現することをめざす。したがって、平成27年度は事例(患者)設定、模擬患者シナリオ、シミュレータの作成および電子カルテへの入力までを目標とした。 (1)シミュレーションの枠組の作成 1単元につき1事例として8事例作成した。事例毎にシミュレーション内容を決定し、模擬患者の設定及びシナリオ骨子を決定した。本研究の各事例における学習活動は、自己学習となるように[導入・事例提示]→[事前学習]→[シミュレーション]→[自己評価]のステップで構成する。各学習内容について電子カルテ内の情報提示、模擬患者、シミュレータのいずれの活動をさせるか教材を割り付けた。 (2)教具の作成 シミュレーション段階で用いる教具を事例毎に作成した。①模擬患者の準備 学習目的に合わせて、模擬患者の条件を設定した。項目として、会話、バイタルサインの測定、胸腹部のアセスメントとした。②シミュレータの開発 胸部のフィジカルイグザミネーションの際に、胸骨を基点として肋骨と肋間を識別し、聴診部位を探索できるように、胸郭モデルを作成した。また、患者―看護学生の会話場面について、参考書KAN-TAN看護の実習マナーを参考に、適切な会話を見極める練習問題を作成した。③学生版電子カルテの充実 学生版電子カルテの事例毎に情報を搭載する予定であったが、システム開発、医療情報の収集に支障があり、遂行できなかった。④自己学習用ワークシート類の作成 シミュレーションの[事前学習]、[シミュレーション]、[振り返り]に必要なワークシート類を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
事例学習の入り口であり、情報提供のタイミングと情報量を調整するための「学生版電子カルテの充実」ができなかった。平成27年度には、学生版電子カルテに事例毎に基礎情報、治療方針、X-Pを含む各種検査データ及び看護記録ページに入院後の情報を設定し、入力する予定であったが、病状に応じたX-P写真や呼吸の異常音などの実際の医療情報の入手が困難であり、「学生版電子カルテの充実」が図れなかった。倫理的配慮を講じながら、情報を収集する、または作製する方法を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
まず最初に、平成27年度の予定であった「学生版電子カルテの充実」を行う。学生版電子カルテの事例毎に基礎情報、治療方針、X-Pを含む各種検査データ及び看護記録ページに入院後の情報を入力する。あわせて、評価を経て胸郭モデルを改良する。 準備が整い次第速やかに、平成28年度の課題に取りかかる。平成26年度の研究の結果として作成された教育パスを稼動させ、このシステム運用の長所・短所をリストアップする。その教育パスに連動させた形で、教育の質を確保するために最も重要な点(Critical Control Point; CCP) を設定したうえで、CCPでの連続的監視・記録を行っていく。すなわちHACCPの運用を試み、教育活動についてHACCPとしてのマネージメントシステムが機能しているかを評価し、従来の教育プログラムの手順と比較することで今回提案したシステムの有用性を検討する。なお、対象となる施設から研究協力に関する内諾を得ている。そうした取り組みを行い、PDCAサイクルを数回まわしながら、受講者の満足度も含めた質問紙調査によって評価することで教育パスを完成させる。 今後の発展のために、HACCPの導入経験で得たマネージメントシステム導入の長所と短所を抽出し、新しい教育的アプローチに着実な進歩が期待できる質の高い教育体制づくりの方法論を提案するものである。研究成果の総括を行うとともに、学会での発表やインターネットでの公開等によって、社会に公表し、今回作成した教育プログラムの普及を行う。
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Causes of Carryover |
平成27年度は教材開発を行う段階であった。胸部モデルの試作を行ったが、平成28年度にさらなる改良を加え、複数台の作製を必要とする。また、学生版電子カルテへの情報の搭載について、システム構築の専門家への協力を依頼する必要があることと、医療情報の入手に経費がかかることが予想される。平成28年度の経費を捻出した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度の使用学と合算して教材開発のための物品費(備品費)および人件費(謝金)にあてる。
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Research Products
(2 results)