2014 Fiscal Year Research-status Report
中小規模病院における感染管理システム構築に関する研究
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26463287
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Research Institution | Yamanashi Prefectural University |
Principal Investigator |
平尾 百合子 山梨県立大学, 看護学部, 教授 (50300421)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 院内感染対策 / 中小規模病院 / 感染管理システム / 感染防止対策加算 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度では、まず感染症専門医・感染管理認定看護師・感染症専門看護師の登録状況および感染防止対策加算1と加算2の取得状況を調査した。その結果、専門医は1,187人、認定看護師は1,804人、専門看護師は30人が登録されており、その多くが東京や神奈川など人口密集地の300床以上の大規模病院に所属していた。なかでも、専門医は大規模病院333施設(21.7%)に所属し、残りの多くは診療所であった。加算1を取得した1,070施設のうち77.3%は大規模病院であり、全国の大規模病院の53.9%が取得していた。加算2を取得した2,548施設の87.2%は300床未満の中小規模病院であったが、全国の中小規模病院の31.7%しか取得していなかった。 今回の結果では全国病院の20%に満たない大規模病院に専門医等が集中し加算1の取得がみられた一方、中小規模病院は多く(約70%)が加算の取得ができておらず、全国の中小規模病院、特に小規模病院では感染対策の人材不足によって加算が受けられない現状が明らかとなった。 次に、山梨県・長野県・神奈川県内の中小規模病院を含む産科医療機関32施設に感染対策のアンケートを実施した。調査協力者の血液・体液曝露経験は96%であり、ほとんどの助産師が複数回の曝露経験をしていた。曝露場面は破水時が最も多く、分娩直接介助時の個人防護具の使用率は手袋99.3%、ガウン95.5%、マスク52.0%、ゴーグル18.7%、4つ全部使用は17.2%という結果が得られた。 300床未満の中小規模病院の感染対策の現状を調査するため、全国地方厚生(支)局の管轄法人等一覧を基に、病床規模300床未満の7,029施設の中小規模病院の中から700施設を無作為抽出し、対象施設で感染対策を担当している看護師にアンケートを郵送法で実施した(現在、調査結果を分析しているところである)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は300床未満の中小規模病院における感染管理システムの現状について把握することを大きな目的としていたが、2014年現在の専門医や認定看護師等の所属状況や感染防止対策加算の実態を把握することができた。その結果、感染対策の専門家は大規模病院に集中しており、中小規模病院、特に小規模病院の感染対策の遅れが浮き彫りになった。 また、全国300床未満の中小規模病院700施設へアンケートを実施した結果、まだ十分な分析は終了していないが、中小規模病院で感染対策に携わっている看護師の意見を集約することで感染管理システムを考案する上で役に立つ貴重なデータを得ることができている。一方、分娩介助時における感染対策の防護具使用に関する認識については、職員の感染予防行動の特徴を解明することができ、個人防護具使用の推進における管理上の改善点や職員教育に役立つデータを得ることができた。 これらの結果は、平成27年度以降に実施する山間部僻地の中小規模病院の感染管理システム構築のため、そこに勤務し感染対策を担当している看護師に感染対策上の問題点や不安などについて面接調査する際の基礎資料にすることができる。 今後の研究活動については山梨県と奈良県の山間部僻地病院を対象として活動することを研究者間で協議・決定し、奈良県内での研究活動がスムーズに行えるよう組織を見直し、大阪府立大学の連携研究者を研究分担者にした上で研究費の配分等を変更し、研究活動推進のために研究者間で柔軟に対応できている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度以降の研究活動については、山梨県と奈良県の山間部僻地病院を対象として活動することとし、まず山間部僻地の中小規模病院の感染管理システム構築の基礎資料とするため、そこに勤務し感染対策を担当している看護師に感染対策上の問題点や不安などについて半構成的面接を実施する。 その後、平成26年度に得た結果を受けて、感染症専門医や感染管理認定看護師が不在の山間部僻地の中小規模病院でも、効率よく院内感染対策が実施できるよう実現可能な感染管理システムの試案を作成した後、研究協力の同意が得られた山間部僻地の中小規模病院において、我々が考案した感染管理システムを試験的に導入し、臨床での活用の可能性について考究する。 これまでの経験から、感染管理システムの内容はICT(感染対策チーム)の組織運営・活動支援とメンバー育成、感染対策に必要な技術演習を含めた定期的な勉強会の開催、院内感染サーベイランスの実施、環境整備と環境ラウンドの実施、抗菌薬使用基準作成と抗菌薬ラウンドの実施、耐性菌データのチェックなどが予測される。この感染管理システム構築にあたっては、山間部僻地の中小規模病院で感染対策を担当している看護師と共同研究者間で協議して作成する。その後、感染症看護専門看護師や感染管理認定看護師として病院に勤務している研究協力者数名の協力を得て根拠を明確にし、実現可能な感染管理システムを構築したいと考えている。 研究が当初計画どおりに進まない時の対応としては、早めに研究者間で協議し、研究目的に対応するような研究計画の修正および内容変更を行い、研究協力の承諾が得られた施設に迷惑がかからないよう配慮する。
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Causes of Carryover |
物品購入時に定価よりも安価な業者より購入したため、その差額が次年度分として残ったものである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残金が高額でないため、次年度は文房具や消耗品の購入に充てたいと考えている。
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Research Products
(3 results)