2016 Fiscal Year Research-status Report
看護職者の職業被ばくに関する知識および防護行動実態調査と安全教育プログラムの開発
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26463288
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
白鳥 さつき 愛知医科大学, 看護学部, 教授 (20291859)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大石 ふみ子 愛知医科大学, 看護学部, 教授 (10276876)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 職業被ばく / 看護師 / 看護管理者 / 放射線診療 / 職業被ばく防護研修 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は,看護管理者および放射線診療に携わる看護職者の職業被ばくに関するリスク認識や防護行動を明らかにすることを目的として郵送法による自記式質問紙調査と放射線診療に専門に関わっている看護師8名にインタビューを実施した。全国の病院から層化抽出法と無作為抽出法にて400床未満の436施設,400床以上の施設384施設を選出し,看護管理者1880部,看護職者2820部とした。調査内容は職業被ばくに関するリスク認識,安全行動,教育研修の受講状況など計46項目で構成した。回収数は看護管理者523部(回収率27.8%),看護職者851部(回収率30.2%)であった。結果:これまで職業被ばくの教育研修を受けたことがある者は全体で65.3%であったが,教育内容に満足した者は24.4%であった。自分の施設で放射線診療が「大変増加した」と54%が回答しており,最新の職業被ばく防護の知識を得る教育が必要であると41%が回答した。職業被ばく防護に関する院内研修実施率やマニュアル整備は400床以上が有意に高い結果であった。また,5件法で求めた「私は(部下は)一般の日本人より多く放射線に被ばくしていると思う」や「私は(部下は)職業被ばくによって健康障害のリスクがあると感じている」は,看護管理者が有意に低い値(p<0.001)であり,部下が置かれている状況や不安を管理者が十分把握していないことが示唆された。施設規模による比較やインタビューの結果は分析中である。 調査結果を踏まえ,職業被ばくに関する研修会を2回実施した。講義は「放射線の性質と単位」「放射線診療の種類と被ばく線量」「放射線の影響」「看護職者のための具体的な放射線防護法」など基本的知識から防護法まで専門家を招いて講演を行い,距離の測定や防護服着用などの演習を含んだ。受講生からステップアップした研修会の要望が高かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
看護職者の職業被ばくに関する認識と防護の実態について全国調査が終わり,結果を分析中である。全体の記述統計量から概要はつかめたが,施設規模による比較やインタビューの分析などが一部遅れている。また,研修会では演習を含むため受講生数を限定する必要があり,すべての希望に応えられない状況があった。そのため,再度研修会を企画する必要性が生じた。今年度は,研修会実施における受講生の意見や理解度調査結果を分析し,研修会の有用性について評価を行う。 放射線診療に専門に携わる看護師8名へのインタビューは逐語録を質的に分析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は8月に受講生に要望に応えた職業被ばくに関する研修会を企画した。講義内容を「放射線の性質と単位」「放射線診療の種類と被ばく線量」「放射線の影響」「放射線診療と看護師が被ばくする機会」「看護職者のための具体的な放射線防護法」と焦点化して実施する。各講義内容の理解度について研修前後の比較から検討し,難易度の高さや詳細な説明を必要とする内容などを抽出し,マニュアル作成に反映させる。 講師は放射線技師と放射線診療専門の施設に勤務する看護管理者である。加えて、演習では企業の協力を得て最新の防護具の紹介と実際の着用体験を行う。その後に、参加者でグループワークを行う。これらの結果を基に,職業被ばく防護に役立つマニュアルを作成し,看護職者の労働環境の安全性を啓発する資料とする。
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Causes of Carryover |
調査結果を反映した研修会を2回企画したが,被ばく予防の防護具装着体験の演習を組み込んだため,受講生数を制限する必要性が生じた。そのため,研修内容の理解度調査が十分ではなかった。また,受講者からステップアップした内容で定期的な研修会を望む声が多かったため,広範囲に受講生を募り,実施する計画を立てた。放射線診療に携わる看護師へのインタビューについては,日程調整が難しく,予定通りに調査が進まなかったため,繰越となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後の予定は①放射線診療に携わる看護師へのインタビューの追加3~5人程度。インタビューへの謝礼として2万円程度。逐語録のテープ起こしに10万円程度を計上している。②平成29年度の研修会は2回予定。案内状送付,講師謝金,会場費,雑費等で50万円程度計上。データ入力に15万円程度。③看護職者用の職業被ばくマニュアルの作成と製本および関連施設への配布を予定している。この予算に30万円程度を予定している。
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Research Products
(10 results)