2015 Fiscal Year Research-status Report
国際比較による我が国の「看護組織における組織文化」の明確化と変革のリーダーシップ
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26463301
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Research Institution | Shikoku University |
Principal Investigator |
稲田 久美子 四国大学, 看護学部, 教授 (00446064)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 組織文化 / ワークライフバランス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度に、ニュージーランドで日本人看護師9名を対象に日本とニュージーランドの看護師の文化特性の違いについての面接調査を行ったところ、両国の間のワークライフバランス(以下、WLB)の意識が随分と異なることに気付いた。そしてそのことが働きやすさの違いになって表れており、日本の看護師の組織の問題点と捉えられた。そこで、平成27年度は、日本の看護師のWLB組織文化特性の関連性を調べる研究を行った。 平成27年11月にプレテストを行い、平成28年1月に本調査を行った。測定尺度は村上の「看護職の仕事と生活の調和実現度尺度」(28項目、5段階評定尺度)を用い、組織文化の測定尺度は稲田の「看護組織における組織文化の測定尺度」(40項目、7段階評定尺度)を用いた。本調査の対象は1000床程度の1総合病院に勤務する看護職868名で、病院内に設置の投函箱に無記名で投函してもらって回収した。尚、調査を開始するにあたって、四国大学研究倫理審査委員会の承認を得た。 回収率76%、有効回答653であった。WLBの全項目を主因子法、プロマックス回転にて因子分析したところ、村上の結果と同様、5因子が抽出され、因子項目も一致したため、各因子名を村上と同様とした。WLBの各因子と組織文化の全項目の相関係数を求めた結果、第2因子「仕事のやりがい・職場の支援」のみが組織文化の項目の多くと相関がみられた。そこで、第2因子を目的変数に組織文化の項目を説明変数にして重回帰分析を行った結果、14項目の説明変数が抽出された(R2=0.55)。WLBの5因子のうち、第2因子のみに組織文化項目が関係していたことは、この因子が組織活動と関係が深いことを示している。抽出された説明変数は、個人の尊重、異質さの受容、集団としてのまとまりのよさや仕事への奉仕に関するもので、こうした文化特性が仕事のしやすさに影響していると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度に予定通りニュージーランドに行き、オークランド工科大学の研究者と一緒に調査を行うことができた。平成27年度も引き続き調査を行う予定であったが、大学での仕事の関係でニュージーランドへの長期出張が難しくなり、日本国内で調査を行うこととした。国内での調査は順調に行われ、結果を出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度もニュージーランドへ長期出張をして調査をすることは難しいため、日本国内において、平成26年度のニュージーランドでの調査結果を検証する調査を行う。また、平成26年度の調査結果を公表し、フィードバックを得ることとする。
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Causes of Carryover |
平成27年度は大学の仕事の関係でニュージーランドに長期出張をして調査を行うことができず、日本国内で調査を行った。そのため、当初予定よりも助成金使用額が少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度の検証調査や学会公表などに助成金を使用する。
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