2016 Fiscal Year Research-status Report
がん患者の治療と仕事の両立へ向けた効果的なセルフマネジメント方法の構築
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26463342
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
楠葉 洋子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (90315193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋爪 可織 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 助教 (20338578)
藤野 裕子 沖縄県立看護大学, 看護学部, 教授 (00259673)
澤井 照光 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (50295078)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | QOL / ボディイメージ / 外見 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.外来で化学療法を受けているがん患者のQOLとボディイメージについて、長崎県内のA病院の外来で化学療法を受ける20歳以上のがん患者18名を研究対象とし自記式質問紙調査を実施した。調査票未完了者1名を除く17名を分析対象とした(男性4名、女性13名)。 平均年齢62.2歳、平均罹病期間11.8年、治療前から無職の人は11名、治療をきっかけに休職・退職した人は3名であった。調査項目は、QOL(WHOQOL26)、ボディイメージ(平田らの先行研究をもとに抽出されたボディイメージのサブカテゴリーやカテゴリーを参考に作成した8項目を使用した。例:自分のからだが治療前より弱くなったと感じることがある、日常生活の中でいつ体調を崩してしまうかわからない等)であった。QOLの平均点は2.96で他の慢性疾患の得点より低かった。「化学療法とうまく付き合えるようになったと感じる」という項目の得点が最も高く、「体を見られることに治療前よりも敏感になった」という項目の得点が最も低かった。また、「日常生活の中で、いつ体調を崩すかわからない」と考える人ほどQOLも低く、予後の不確かさがQOLに影響していた。 2.B病院外来で分子標的治療薬を使用して治療を受けている20歳以上の患者で研究参加の同意が得られた19名を対象に皮膚障害のレベルと角質水分量及び栄養との関連を3か月にわたって調査した。皮膚障害がGradeⅠで経過した患者は9名、GradeⅡを1回以上経験した患者は10名であった。GradeⅢへ悪化する患者はいなかった。GradeⅠで経過した患者の方がGradeⅡを経験した患者よりアルブミンが有意に高かった。また、前腕部の角質水分量、BMI・総蛋白は高い傾向があった。栄養状態を整えることは、治療継続のための体力保持・皮膚障害の重症化を予防することに繋がることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
治療と仕事の両立へ向けた効果的なセルフマネジメントを構築する上で化学療法を受けている患者にとって「皮膚障害」は治療を継続する上でも重要な問題である。平成27年末より本問題を研究テーマとして取り上げ調査をしたため、当初予定していた倦怠感と活動量の研究が遅れることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
1.本年度は最終年度として化学療法を受けているがん患者の倦怠感と活動量の関係に関する研究を再開始する予定である。倦怠感は治療と仕事を継続する上で最も問題となる症状の1つである。活動量が多い人が倦怠感が少なかったという前回までの研究結果の信頼性を高めるために対象人数を増やしていく予定である。 2.治療と仕事を継続する上での問題点として、本研究では外見に関わる問題を取り上げている。今までの研究の消化器がん患者のボディイメージやがん患者のボディイメージとQOLの関係、皮膚障害に対するケアについてなどの今までの研究をまとめていく予定である。
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Causes of Carryover |
論文投稿の準備が整わず、論文投稿のための予算執行がなかった。また、外見関連QOLに関する調査費用や新たに取り組んだがん化学療法を受けてる患者の皮膚障害に関する研究での費用も少額で済んだ。身体活動量と倦怠感の調査が滞ったため、調査対象者および研究協力者への謝金が発生しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
論文投稿費用として、英文校閲料や投稿料に使用する。また、身体活動量測定機器は既に購入しているため、調査対象者および研究協力者への謝金および学会発表旅費に使用する。
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Research Products
(1 results)